エンジョイ勢
ルーンたちが双子と戦闘している一方、別行動をしていたフィアとシュウは拠点が見える場所まで来ていた。
「フィアさん、MPポーションあとどれくらいですか?」
「あと、20本をきったところ。そっちは?」
「俺も似たようなものです。ここまで道中にトラップやら敵やらでかなり消耗しましたからね」
「ここからはキョウヤだろうと他のプレイヤーだろうと無差別に凍らすつもりだけど反対は無いね」
フィアがそう言うとシュウは不満気な顔をしてフィアの方を見ていた。
「フィアさん…ここまで来て俺のワガママで他のメンバーに迷惑をかけるつもりはありません…ただ俺はキョウヤを自分の手で倒せるなら倒したいんです!」
「別に迷惑とか考えなくても良いんじゃない?ルーンちゃんも他のメンバーも誰のせいで負けたなんて言わないと思うよ。まぁ、ルーンちゃんは自分が悪いって言いそうだけど…私はこのゲームはエンジョイ勢だからね」
「そうすっか…ありがとうございます。なんか心のなかで吹っ切れることができました」
「それは良かったよ。ゲームって言ってもここは戦場だから一瞬の迷いが命取りになるから」
フィアがニコッと笑いそう言うと次の瞬間、前方から魔法が何発も飛んできた。
「うわっ!もう気づかれたみたいだけど、どうするシュウくん?」
「とりあえず、近距離まで近づいたら俺が倒すんでフィアさんは俺が近づくまでの牽制お願いします」
「オッケー!じゃあさっそく…【凍てつく世界】」
フィアはシュウに言われた通りの牽制ではなく、前方にいる敵をまとめて凍らせる強力な魔法を使った。
「ちょ…フィアさん、俺って今フィアさんに牽制をお願いしましたよね。敵もう一掃されてるんですけど…」
「そうだね。1つシュウに言っておくよ。私は根っからのエンジョイ勢だよ。自分の力でできることのなかで最高のことをするのが私のポリシーだからね!」
フィアはそう言うとシュウをおいていく速さで敵の拠点に向かって走っていった。
「お、おい!くっ…しょうがないか」
シュウは先に突っ込んでいったフィアを追いかけるように凍りついた砂漠の上を走った。
「っと、シュウほらお望みの人がいるよ」
「それってどういう…っ、キョウヤ!」
急に止まったフィアに驚いたシュウは目の前を見てみるとそこにいたのはかつてのリアルでも繋がりのあったゲーム友だちであり今ではライバルのキョウヤであった。




