砂嵐
「【クインタプルテンペスト】」
「うわっ!」
フィアが氷の道を作ろうとした瞬間、激しい暴風が吹き地面の砂が巻き上げられた。
「うぅ…先輩これなんですか…」
「わからない…と、とりあえずシュウさんは範囲防御スキルを使ってください。敵の攻撃が今きたらヤバイです」
「お、おう!【ドームバリア】【展開:シールドエリア】」
ルーンの指示でシュウは範囲防御スキルを使用したが攻撃判定になっていない砂嵐は防げなかった。
「【フレアボール】」
「【アクアランス】」
「【シャイニングオーブ】」
シュウが防御体勢を整えると前方から無数の魔法が飛んできてシュウのHPをジリジリと削っていった。
「ぐっ…リーダーの言った通りになりやがった。前方から魔法がいくつも飛んできてやがる」
「アヤメはシュウさんにポーションを使ってHPを永続的に回復して!フィアさんはちょっと早いかもしれないけどもうここであれを使ってください」
「わ、わかりました」
「これは使うしか無さそうだね…【スノーフィールド】【永久凍土】」
フィアの使ったスキルの効果でフィアの周りから雪が広がり次第にその場が砂漠を覆うような雪原となり、砂嵐もそれと平行しておさまった。
「あらら…自慢の砂嵐がこんな一瞬で対策されちゃいましたか。さすがですね【犯罪者の夜】さん」
「やっぱりお前の仕業だったのかフゥー」
「久しぶりだねシュウ、ライカとキョウちゃんからそっちのクランに行ったって聞いたときは驚いたよ。そうそう、驚いたと言えばリーダーのルーンの攻撃も異常だって2人から聞いていますよ。影に消えるみたいって」
「大きいクランの幹部さんたちが私のことを敵として意識してくれてるのは嬉しいですけど、私たちを前にそんなに余裕そうにしていても良いの?」
ルーンはそう言うと後ろでスキルを使おうとしているフィアの方を親指でゆびさした。
「【氷解】」
「…っ!【ジャイロタイフーン】」
フィアがスキルを唱えた瞬間、ルーンたちの後ろに長く続いていた氷の道が崩れ、氷の礫となってフゥーとその後ろにいた十数人の魔法使いを襲った。
「グワッ…」
「うぐっ…」
クランメンバーの魔法使いたちが次々と倒れていくなか、フゥーは風の繭のようなものを作り攻撃を通さなかった。
「危ない危ない…フィア、これってベータテスト大会の決勝で8人中4人を倒したときのスキルだよね」
「うん、そうだよ。そっちも同じスキルを使って防いでたような気がするけど…前に見た技の対応は流石に早いか」
「そうだね。でも、キョウちゃんから預かった魔法使い部隊は完全に倒されたからこっちの負けかな」
フゥーは言葉では負けを認めているもののまだ全然戦意喪失していなかった。




