緊急報告
ルーンたちが氷の道を進んでいる一方でやはり【蒼空学園】の見回り部隊が氷の道を発見し、クランリーダーのキョウヤに報告していた。
「とりあえず、今回の見回りの報告は森の入口付近に謎のチューブ状の氷の道が発見したということのみです」
「あぁ、ありがとう。大体の状況は理解できたから引き続き見回りをお願いするよ」
「はい、わかりました」
クランメンバーがそう言って部屋から出るとキョウヤは難しい顔をして考えた。
「どうしたのキョウちゃん?これってどう考えてもフィアがやったことだよね」
「ライカにしては良い推理だね。だけど私としては誰が何人来てるかだと思うんだけど…」
フゥーが言う通りキョウヤがひっかかっているのは敵の戦力だった。
「あぁ、フィアがこっちに向かってきてるのは確定だが、他のメンバーがわからない。もしかしたら単独で来てる可能性もあるし、全員で来てるかもしれないからな」
「じゃあ、【ミルキーウェイ】にも連絡して応援に来てもらう?」
「そうしてくれ。あと、一応お前らは奥の手を使う覚悟をしとけよ。リリスも見たこと無い姿で【犯罪者の夜】戦ってたと報告があったからな」
「へぇー、そうなんだ。それは今度戦うとき面白そうじゃん。でも、私とお姉ちゃんの2人が本気出しちゃったらあっという間に決着がついちゃうけど」
ライカは自慢気で余裕そうに言うと黄色の剣を鞘から抜いてキョウヤにアピールした。
「そんな簡単な話なら嬉しいんだけど私としてはキョウヤがフィアの火力に耐えられるかだけど?」
「そこは心配しなくても良い。俺の鏡の盾は魔法を全く通さないからな」
キョウヤもライカに自分の盾をアイテムボックスから出してお返しとばかりに見せびらかした。
「むぅ~、もうそんなことはどうでもいいよ。それより入口付近に先行部隊を向かわせなくても良いの?」
「別にそんなことしなくても良いんだよ。【犯罪者の夜】にはアリアを含む約150人のメンバーが殺られるから今回もどれくらいの被害になるか想像もつかない」
「それもほとんどがフィアとあっちのリーダーのルーンって奴に殺られたんだ。ルーンは自分が軍の先頭に立って指揮をするタイプのリーダーだ。今度も間違いなくと言って良いほどの確率でこっちに来てるだろうしな」
フゥーとキョウヤはいたって冷静にこの状況を分析しているがライカはそれをめんどくさそうに聞いていた。
「じゃあ、先行部隊は行かせずここに待機して待ち構えるかたちでいいの?」
「いや、さすがにそんなことはしない」
「うん、キョウちゃんの言う通り来てくれる敵にはしっかりとおもてなしをしないとね」
そう言ったフゥーの顔はライカでもあまり見たことがない悪い顔になった。




