静かな3日目
3日目となると残っているのは大型クラン以上のクランしかおらず、どこも相手の戦力や状況がわからず出方を疑って相手を牽制する冷戦状態になっていた。それに乗じて【犯罪者の夜】の面々も交代で休んでいた。
「エイル~、そろそろ見張り変わろうか?」
「いや、いいよ。僕はそんなに疲れてないし、フィアもまだ寝起きでしょ」
「そうだけど、3日目の日中はルーンちゃんの予想では一番静かな時間だって話だったでしょ」
「たしかにそうだけど、昨日の夜みたいな襲撃があるかもしれないから見張ってるんだよ」
エイルが真面目な顔でそう言うとフィアはフフッと少し笑った。
「あの【蒼空学園】の襲撃ならルーンちゃんのもくろみ通りってことらしいよ」
「えっ、それってどういうこと?」
「なんでも、2日目の朝方にマッピングに行ったとき【蒼空学園】と遭遇して昨日1日だけの休戦協定を結んだらしいよ。あれだけ無理しないでって言ったのに…」
「ちょっと待って。ルーンちゃんは単独で【蒼空学園】と協定結んだのは百歩譲って良いとしてそれをなんで僕たちに隠しててそれに加えてなんで夜襲も予言できたの?」
エイルは驚いた様子だったが取り乱すことなく冷静にフィアに質問した。
「1つ目の隠してた理由は私たちに無理をするなって言われたから隠してたらしいよ。ぐちぐち言われるのは好きじゃないですからって」
「へ…へぇー、それはまたルーンちゃんも身勝手な…で、でもルーンちゃんに子供っぽい部分が残って何よりだね」
エイルは苦笑いしながらルーンをたてる言い方をするとフィアは深いため息をつくだけでこのことについてはこのあと何も言わなかった。
「2つ目の予言の方は協定の期限を昨日1日にしたかららしいよ。【蒼空学園】の方は日付けが変わった瞬間に夜襲すれば協定には反しないし、主要メンバーが外に出てるって噂を流せばこのチャンスを逃さないだろうって」
「ははは…まさかそんなこと、いくらルーンちゃんでもそこまで先を読んで行動できるわけ…」
「いや、ルーンちゃんならやりかねないと私は思うけど、真相は闇のなかって感じだね」
フィアはそう言うと自分で作った氷の柵に寄っ掛かり、まだ青い空を仰ぎ見た。
「そういえば僕とフィアがこうして2人だけで喋るのってベータ版以来じゃない?」
「まぁ、そうだね。でも、私はルーンちゃんのクランにエイルがいたのは驚きだったけどね。てっきり、アスタロとクローネのクランに行くものだと思ってたから」
「それはそっちも同じじゃない?ルーンちゃんとは身内だからってこのクランに入らなくてもアニちゃんを巻き込んでクラン作ってそこのリーダーになることもできたよね」
「う~ん、それは考えてなかったかな。だって私はリーダーっていうがらじゃないし、変に私が作ったクランよりこのクランの方が楽しいと思ったからね」
フィアの返しにエイルは納得したような顔をしつつも、どこかまだ疑問を残している顔をした。




