本気のフィア
「おぉ、遂に姿を現したかこのゲーム最強の魔法使い!」
「最強の魔法使いかどうかわからないけど、少なくともあなたよりは強いかな」
フィアはアリアを挑発するような口調でそう言うとアリアもそれにのるように話した。
「言ってくれるじゃねぇか。じゃあ、お前を俺が倒せば少なくともお前よりは強いってことになるんだよな」
「たしかにそうなるね。それじゃあ、ルーンちゃんたちは手を出さなくても良いよ。この子は私1人で倒すから」
「フィアさん!でも、そのプレイヤーの異常なSTRとVIT、それに自然回復が…ルーン先輩!」
「いや、フィアさんの言う通りにしよう。ここで私たちが加わったら邪魔になる」
ルーンはフィアに言われた通り、後ろにさがり手を出さないとアピールした。
「いいね~!俺のためにわざわざ一対一にしてくれるなんて優しいじゃねぇか」
「まぁ、一対複数じゃそちらが不利だろうし、私も周りを気にして戦えるほど器用でもないのでね!【氷結の皇帝】【氷結の王】【ストレートアイス】」
「そうきたか!【直線衝撃波·打】」
フィアは2種類の氷属性を大幅強化するスキルを使い、アリア目掛けて直線上に氷の礫を放ち、それに対抗するようにアリアは直線的な衝撃波を生み出し2人の攻撃は中央でぶつかり合ったが圧倒的にフィアの氷の方が強力だった。
「なっ…!うわぁぁーー!」
「おぉすごいよ、あなた。私の攻撃をHPの半分だけで受け止めるなんて…しかも、自然回復でどんどんHPを戻して、これは本当に一瞬で潰した方が良さそうですね」
「ぐっ…これはヤバイか…」
アリアはHPが回復しているものの、氷の礫による打撲で数ヵ所のスキルで治せないダメージを受けていた。
「さぁて、ルーンちゃんあれをここで使っても良いよね?敵はこの女の子だけだし」
「良いですよ。本番前に丁度良いと思いますし…」
「ありがとう。これで確実に殺れるよ!」
フィアはルーンに軽くお礼を言うと持っている杖をアイテムボックスに戻し、氷で作られたような透明で鋭い細剣を取り出した。
「細剣…?お前は魔法使いのはずだろ…」
「なんでフィアさんが細剣を使うんですか?ルーン先輩」
「見てればわかるよ。フィアさんがなんでこのゲームでトッププレイヤーなのか。そして、あれを使うことがフィアさんにとってこのゲームがどれだけヌルゲーになることなのか…」
ルーンに言われアヤメは細剣を構えているフィアの姿をじっと見た。そんななかでもフィアは集中した様子で動きが制限されているアリアしか眼中になかった。
「決める!」
「なっ…」
「【風穴あけ·吹雪】」
フィアは目にも止まらぬ速さでアリアに接近し、細剣で腹部に穴をあけ、アリアがそれに気づくころにはひかりとなって自らの身体は消えていた。




