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もう1人の…

ルーンは他のメンバーにも指示をしながら拠点のなかに入ってきた相手を迎え撃つために食堂のある2階でアヤメとともに待機していた。


「ルーン先輩、本当にここまでそのプレイヤーは来るんですか?洋館のなかにも落とし穴やらブランの糸トラップがあるし勝手に死ぬんじゃ…」


「たしかにそうかもしれないけど、フィアさんの氷を粉々に砕いて外のトラップを掻い潜ってきたプレイヤーだから万が一のこともあるし」


「師匠、言われた通り全ての段取りを終わらせました」


「こっちも大丈夫って言いたいところだったけど、もう来ちまったよ特徴とぴったり合ったプレイヤーが…」

シュウの知らせを聞くと廊下の奥にある階段をのぼってくる音が聞こえてきた。


「遂に来ますよ!」


「あーあ、もうここまで来ちまったかぁ~。おっ、少数精鋭クランで4人もお迎えとは…なかなか嬉しいことしてくれるじゃねぇか」

階段をのぼってきて姿を現したプレイヤーはアヤメから聞いていた通りの特徴のプレイヤーだったがその清楚な見た目に反した男勝りの言葉使いは意外であると同時に、ルーンはあるプレイヤーとそっくりそのままのアバターに驚いた。


「…っ!アリアさん…?」


「何?リーダーこいつのこと知ってるのか?」


「いや、知ってるっていうか見た目が同じプレイヤーのことを知ってて目の前にいる人は言葉使いから武器に態度まで全く違う別人…?」

ルーンが頭に浮かべていたのは塔攻略の前に出会った【蒼空学園】のプレイヤーを従えていたアリアだった。


「リーダー、ともかくあの女を倒せば良いんだろ!【ブレイズスラッシュ】」


「シュウさん、待って!」


「ぶっ壊してやる!【アックスブレイク】」


「グハッ…!」

シュウは勇敢にも相手に斬りかかろうとしたが相手の斧に凪払われ、壁に叩きつけられHPを9割削られスタン状態になってしまった。


「あれ?HP残っちまったなぁ。どんだけ固いんだよコイツ…まぁ、いいか。スタン状態になってるしな」


「バフ積みまくったシュウさんをほぼ一撃…あなたって一体何者なの?」


「俺か?俺の名前はアリア、【蒼空学園】所属プレイヤー統括兼ゲーム内最高ダメージ記録保持者だ」

アリアと名乗る目の前のプレイヤーにルーンはなんとなく合点がいったような感じだった。


「っ!やっぱりアリアだったんですね。見た目も同じの時点で薄々気がついていましたが別の人格って言ったところですかね?」


「あぁ、そうだ。お前がさっき会ったのは俺だが俺じゃないアリアだ」

アリアはそう言って再び斧を構え、残り3人を相手にする体勢になった。

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