蜘蛛の腕
塔の周辺で地震が起こる十数分前、塔の頂上では【解放30%】の効果で両手が女郎蜘蛛の脚になったブランと大盾に炎鎧姿のチェインが対峙していた。
「【毒糸】【貫通糸触手】」
「くっ…【防具変化:ミスリルの鎧】【貫通防御】」
チェインはブランの貫通攻撃に対抗して防御の姿勢をとりクリスタルをガードするが、ブランの追撃に対しては完全におくれをとった。
「取った!【パワーアーム】」
「うぐっ…!1発いれられちゃったか…」
「そう言ってる割には対してダメージ入ってないみたいですけど?」
「まぁ、1発の攻撃なんてこんなものだよ。【武器変化:ソード&シールド】【ブレイズスラッシュ】」
今度はチェインのから攻撃を仕掛けるがブランはお見通しとばかりにニヤッと笑った。
「トラップ発動」
ードーンー
「グハッ!い、今のは…」
「小型地雷トラップですよ。さっき攻撃するときにしれっと仕掛けておいたんです。こういう狭い空間だと地雷が上手くはまるって聞いたんでね!【ダブルアーム】」
ブランは爆撃でまだ立て直していない状態のチェインにすぐさま追撃をかました。
「【ニードルシールド】」
「っ!うぐっ…」
チェインもすぐさま物理攻撃を受けると相手にダメージが入るスキルを使用し、ブランに反撃のダメージを与えた。
「ふぅ~、ブランちゃんだっけ?キミもなかなかやるね。うちに欲しいくらいだよ」
「ありがとうございます。でも、この状況で本気で相手してくれない人とは私は共闘するつもりはありませんよ」
「あれ?もしかして、手を抜いてたのバレてた?」
「もちろんですよ。これでも私はこっちの世界に長くいますから、それくらい分かりますよ」
ブランがそう言うとチェインは面白そうと興味を示すような顔をした。
「へぇー、まぁキミなら喋ってもルーンちゃんや他のクランメンバーくらいだろうし、見せてあげてもいいかな。【防具解除】」
「ん?何をする気ですか?」
チェインはミスリルの鎧を解除して通常の装備に戻ると大きく深呼吸をした。
「こうするんだよ!【武器変化:八本脚の鎖】」
「っ!鎖装備か…しかも、チェインの後ろにある8本の鎖が生きているように動いてる」
「俺は色々な防具やスキル、武器を使えるけどこんな器用貧乏個性じゃトップ8には残れてないよ。その器用貧乏さにプラスして強烈な個性が無いと」
「なるほど…それを聞いて納得しましたよ。あなたが手を抜いていたと思っていた理由だったんですね」
ブランがそう言うとチェインは頷き、8本ある鎖のうち1本をブランに向けてきた。




