2対1の空中戦
塔が大きな地震に襲われる数分前、外ではリリス対シルク、エイル、アニの戦闘が行われていた。
「【凍結の矢】【ピアースショット】」
「遅いです…【混沌の破壊者】【聖邪の翼撃】」
エイルの矢はまだ慣れていない空中での射撃によるブレでリリスに簡単に避けられてしまい、リリスは反撃とばかりに自身のステータスを急激に上昇させ突っ込んできた。
「ぐっ…【アンカーショット】」
エイルはリリスの攻撃をギリギリまで避けずひきつけると、【アンカーショット】でゴム状のロープをくくりつけた矢を塔に食い込ませ、そのまま身を任せると急速に塔の壁に近づき回避した。
「はぁ、逃げられちゃいましたか」
「【スパークバレット】【ライトバレット】」
「おっと、危ない危ない…。そういえば、シルクもいたんですよね【混沌の追跡弾】」
シルクの魔法を躱すとリリスはホーミング系統の魔法を使いシルクに牽制を加えてエイルへの攻撃に集中した。
「あくまで僕を先に片づけるつもりか…。それならこっちも…アニ!【ボムショット】」
「オッケー!【豆の木】」
「ふっ、そんなものがきくとでも…っ!」
エイルが放った矢はリリスに避けられたものアニが魔法で作り出した豆の木に当たり、その衝撃で爆発した。そして、リリスは背後の爆発による爆風にあおられバランスを崩した。
「シルクちゃん、いくよ!【クリティカルスナイプ】」
「はい!【ファイヤーキャノン】」
「っ!…惜しかったですねお2人とも」
リリスがバランスを崩したのをエイルとシルクは見逃さず、2人は挟み込み、同時に攻撃を行ったがリリスは瞬時に体勢を立て直し更に上に羽ばたき避けた。
「うぅ…リリスの動きが素早すぎます…。エイルさん、なにか打つ手はありますか?」
「正直リリスは強い…。僕も空中戦は今、出来てはいるし下でアニがサポートしてくれてる状況だけど勝てる望みはかなり薄いと思うよ…でも」
「でも?」
「最低限、ルーンちゃんの作戦通りに動いてそれを成功させることは出来るかな」
「それがエイルさんの口から聞ければ今は十分です」
エイルとシルクはこのどうしようも無い状況でも、なぜか自然と笑顔と自信だけは湧いていた。
「はぁ、そろそろ終わらせましょう【エビルボール】」
リリスはそう言って右手を上にかかげるとドス黒いエネルギーの玉がどんどんと大きくなっていった。
「っ!アニ、シェルターを!」
「も、もう無いです…」
「うっ…と、とりあえず全員撤退するよ!」
攻撃を無効化するアイテム【シェルター】はもう無くなり受けたら確実に倒されるを見てエイルはここから退避することを選んだ。
「この攻撃で全て終了…っ!」
「え、エイルさん!リリスが青い光に包まれて…もしかしてこれって…」
「おっ!ナイスタイミング過ぎるよ…これってクリスタルを破壊出来たってことだよ」
リリスは青い光に包まれるとドス黒いエネルギーの玉も消えていき、次第にリリスの身体も消えていった。
「これってボクたちの勝ちってことで良いんだよね?」
「うん、そうだよ。私たち勝ったんだよ」
「よし、じゃあ2人を迎えに…っ!な、なんだこの揺れ!」
リリスが消えたかと思うと大きな地震が塔の周辺で発生し、塔がぼろぼろと崩れ始めた。




