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運命のダイス

(あの人、普通に強い!耐火性に優れていて尚かつ刃物でも簡単には斬れないブランの糸を平然と斬り落としているあたりさすがトップ12の一角ってところか…)


(う~ん、ブランちゃんじゃなくってルーンちゃんの方が残っちゃったかぁ。戦いたかったのは事実だけど、リリスちゃんにトラウマを植えつけるプレイヤーってなると勝てるかは五分五分、後はこのサイコロ次第…)

それぞれの思惑が交差するなか、先に動いたのはジャックの方だった。


「【ミラクルダイス】」


「…っ!」

ジャックはルーンの前に左手に持っていた2つのサイコロを転がした。ルーンはそれに反応し、大きくバックステップをしたがそのサイコロは特に何にも起こらずただ地面を転がっただけだった。


「3と6で合計は9か…。これなら五分五分じゃなくて六分四分くらいになるかな」


「な、なんですか。このサイコロは!余程私との戦闘が余裕のようですね!【トリプルスラッシュ】」


「別に余裕ってことでも無いんだけど…まぁ、良いか。勝負のときは言葉よりも態度で示した方が早いからね!【ファイヤーボール】」


「そんな魔法…っ!」

ルーンが真正面から突っ込んできたのを見てジャックは【ファイヤーボール】を放つと火の玉は1つではなく9つに増殖してルーンを襲った。


「あ、危なかった…。さっきのサイコロってもしかして…」


「そうだよ。出た目の数に応じて自分の魔法やスキルが1日強化される僕だけのスキル、今回の9の場合だと攻撃系のスキルと魔法の弾数が9倍されるよ」


「何それ!チートレベルのスキル…」


「まぁまぁ、9自体は当たりの方の数字だし、他にも数字によってはハズレ当たりがあるから一概にチートスキルとは言えないけど、今の状態はチート状態とも言えるかな!【ファイヤーホーミング】」

普通ならホーミング効果がついた小さい火の玉が3つ出るだけの【ファイヤーホーミング】だが、今はジャックのスキルで数が9倍になっている上にこの狭いフロアで避けるとなるとルーンでもかなりキツいことだった。


(27個の火の玉がしかもホーミング付きで襲ってくる…これはかなりまずい。とりあえず、接近戦に持ち込まないと勝ち目は薄い!)


「くっ…【ファントムスラッシュ】」

ルーンはジャックが放った火の玉を避けきると、【ファントムスラッシュ】でジャックの背後まで瞬間移動した。


(よし、これで…)


「ざんね~ん、その攻撃はもう知ってるんだよねぇ」

ルーンが背後からジャックを斬りかかろうとした瞬間、ジャックは振り向きルーンの短剣を杖で受け止めた。


「うぅ…読まれてましたか。でも、これは知らないはずですよ!【上段回し蹴り】」


「なっ…!それくらい。ぐっ…」

ルーンの蹴りはジャックにはヒットしなかったものの、ブーツに仕込んでいた隠しナイフでジャックの右目を損傷させることには成功した。


「うっ、右目が…やってくれましたね。これは3分くらい修復されそうにないね」


「それなら回復する3分の間に倒すだけですよ!」

ルーンは一旦、距離を取ってジャックを嘲笑った笑顔で挑発するように言った。

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