夜襲準備
ルーンの説明を聞いてそれまで各々が夜襲のために今できる準備を行い、そして時間は夜の8時になり攻撃班の5人は氷壁の外に出ていた。
「それにしても良かったですよ。私たちが準備してる間に敵が襲ってこなくて」
「まぁ、この氷壁を乗り越えようと思ったらエイルさんに撃ち抜かれるだけだからね」
「そんなことよりも、ボクの足になるルーンのとっておきの乗り物を早く出してよ」
アニはそう言ってルーンにせがむとルーンもそれに答えるようにあるスキルを使った。
「はい、わかりましたよ!【月狼王の加護】」
ルーンがそう言って出したのはいつも召還している狼ではなく、
通常の何倍ものサイズの狼だった。
「うわっ、大きな狼…」
「ルーンちゃん、この狼ってもしかして…」
「はい、私がこのゲームで一番多く倒したボスの月狼です。アニさん、これに乗って移動してください」
「えっ、いいの!このモフモフの狼に乗っていいの!」
アニは目を輝かせながらモフモフの毛の月狼に抱きついてそう言った。
「ま、まぁ…そのために出したんですからね」
「ありがとうルーン、これは最高の旅になりそうだよ。それじゃあ、早速出発しようか」
アニはルーンにお礼を言うと月狼の足をよじ登り背中にまたがった。
「それは良いけど師匠、どのルートで行くんですか?迂回するんですか?それとも直進ですか?」
「ブラン、その答えは私が今朝私がやったマッピングされたマップの印でわかるはずだよ。ほら」
ルーンはそう言ってブランに印のついたマップを投げ渡すと、数秒待った。ブランはその数秒間で目的地と洋館を結ぶ最高のルートを見つけた。
「あっ、もしかしてこの真ん中のジャングルに入っていくルートですか!」
「当たりだよ。さすがブラン、数秒で理解してくれた」
「ちょっと、ブラン見せてよ…っ!たしかにそのルートなら簡単にたどり着ける…」
シルクはブランからマップを受け取って見てみるとそのルートは浮かびあがるようにして見えた。
「そうでしょ、このために今日の朝方頑張ってマッピングしてたんだよ。それで、クランの拠点がある場所の法則も見つけたし他のクランの拠点を横切らなくても目的の場所にはたどり着けるよ」
「じゃあ、そのルートを進む感じでいいの?」
「はい、一応私たちのように他のクランを攻撃するために移動するプレイヤーもいるはずなのでそのプレイヤーたちとはできるだけ交戦せずに最速で行きましょう」
「たしかにこのメンツでボクが月狼に乗っていれば大抵のプレイヤーは余裕でふりきれるしそれがいいね」
アニがそう言うとそこにいる全員が頷いて早速目的地であるクランの拠点に向かった。




