防衛準備
エイルは目測でクローネ率いる死霊体軍団を確認して、3本の矢をセットして弓の弦を引いた。
「【スピアーショット】」
エイルの弓から放たれた矢は狙った通りの死霊体の頭を貫き、音をたてず静かに倒した。
「えーと…エイルさん、倒せました?私の目だと倒せてるか全くわからないんですけど」
「あぁ、うん。しっかり倒せてるけど、正直ここに到着するまで4分の1か3分の1倒せるか倒せないかってところだね。それより、ルーンちゃんの方は?」
「ルーンはまだぐっすり寝てますよ。ルーンは攻めてきてる奴らがいるってなったら単独撃破に向かいますからね」
ルーンは現在、クローネが率いる300の軍勢については知らず眠っている。これはルーンの性格を踏まえた上での判断であり、今は休ませるべきというのがルーンを除く7人の全員一致の判断だった。
「それなら良かった。それから下の方の準備はどうなってる?一応、僕と【FirstStars】の傘下プレイヤーで出来るだけ時間稼いでるけど」
「もう問題無さそうですよ。フィアさんが壁の高さを2倍にして他のみんなが更にトラップを仕掛けたので攻め込まれる前に大体倒せるはずですよ」
「それなら良かったよ。あっ、あとロータスがあそこのなかにいるから空からの攻撃も警戒しておいて」
エイルはシルクと会話しながらも暇無く弓で矢を放ち、敵を撃ち抜いていた。
「ロータス…って誰ですか?」
「あれ?知らなかったっけ?まぁ、簡単に説明すると【ミルキーウェイ】に所属してるモンスター使い、いわゆるテイマーの女性プレイヤーだよ。だから飛行系のモンスターも召還できるから警戒しようってこと」
「そういうことですか…。それなら私が上空でそういうモンスターとは戦います!」
「あぁ、そうしてもらえるとありがたいよ。いざとなったら他のみんなの遠距離攻撃で援護するから」
エイルは笑顔で上空に矢を放つような動作をして援護をするアピールをした。
「はい、その作戦でいきましょう。それじゃあ、エイルさんは頑張って敵の数を減らしてください」
「了解、そっちもルーンちゃんを起こさないように静かに準備しておいてよ」
「そっちは大丈夫ですよ。ルーンは1度寝たら相当なことが無い限り起きませんから」
シルクはそう言って屋上をあとにした。そして、残ったエイルはクローネとロータスが率いる死霊体軍団が到着するギリギリまで弓矢でできるだけ数を減らした。




