第4回イベント2日目2
「こ、これで良いだろ。あとは来るか来ないか上しだいって訳だし、俺を解放してくれても…」
男はルーンの言う通りメッセージをクランのグループにながして解放するように言った。
「う~ん、たしかにそうなんだけどあなたも一応交渉材料のおまけくらいにはなるかと思うんで解放はしません。でも、この体勢は辛いだろうし、張りつけにしておきます」
「えっ、それってどういう…」
「こういうことです。【蜘蛛の糸】」
「うっ…」
ルーンは男を突き飛ばし反射的に動けないようにして、近くにある木に張りつけ状態にした。
「あとはそちらの幹部が来るのを待つだけですが…ここからあの建物だと速い人が走ったら30分ってところですか」
「うぐっ…うっ…抜け出せねぇ」
「あぁ、それから抜け出すのは無理ですよ。最低【STR100】無いと抜け出せないですし、あったとしても結構時間がかかることは実験済みなんで。あと、そんなに大声出したらいくら見つけられにくいジャングルでも見つけられて集中放火ですよ、自分の立場考えてください」
ルーンがそう言うと男はその光景を想像したのかそれからは静かになった。
それから約40分後、ルーンは待っていても【蒼空学園】の幹部が来ないので少し悩んでいた。
「う~ん、やっぱりこんな呼び出し方じゃ最大規模のお偉いさんは来てくれないかぁ。もうすぐ夜も明けるし、そろそろ帰ろっかな」
「あぁ、そうしろ。俺のメッセージもなんも反応無いし、俺を見捨てたんじゃねぇの?俺としてはクランに迷惑かけずに死ねるから別にこれで良かったんだけどな」
「じゃあ、あなたを殺して帰りますか…っ!」
ルーンがそう言って短剣で男の首を斬ろうとした瞬間、遠くから1本の矢が飛んできた。そして、それを合図としていたかのように次々に魔法や飛び道具が飛んできた。
「まんまと引っ掛かったな。もう、お前を倒すためだけにここら一帯は【蒼空学園】が包囲した」
「なるほど、数としてはさっきの2倍いや、3倍ってところか…でも、勝てない相手では無いか」
ルーンは飛んできた攻撃を全て躱すと、敵の数をなんとなく把握した。
「そんな余裕を言ってられるのも今の…」
「じゃあ、こっちも数を調整させてもうよ!【影分身Ⅱ】【月狼王の加護】【影狼王の加護】」
「なっ…分身体と狼を一気に大量に…」
「これだけじゃ心もとないし、思う存分使えるものは使わしてもらうよ!アイテム【妖精の贈り物】」
ルーンは一気に狼や分身を増やすと同時にアイテムで味方全体のステータスを大幅に上昇させた。
「よし、これで準備オッケーってことで行くよ!…と、その前にあなたを倒しとかないと…」
「えっ、嘘だろ。俺は捕虜だぞ…グハッ…!」
「捕虜でもさすがにこんなことされたら命は無いよ」
ルーンは無慈悲な言葉とともに男を倒し、遠距離攻撃と時間差で距離を詰めてきた近距離武器のプレイヤーたちとの戦闘に興じることになった。




