ツカレテイルモノ
「じゃあ、作戦は爆撃直後にやった作戦に今話したものを付け足す感じで良い?」
ルーンがそう言うと全員が頷き、作戦が固まったところでルーンはフィアとシルクを呼んだ。
「シルク、フィアさん、私もう一度外に出てマップを完成させるから準備お願い」
「あっ、うん、わかった。でも、ルーン大丈夫?イベント始まってからずっと外で走りっぱなしだけど…」
「そうよ。あんまり頑張り過ぎると動きにも影響していざというときに動けなくなるよ」
「大丈夫だよ。たしかに走りっぱなしではあるけど、疲れは無いし次帰ってきたら寝るつもりだから。それより、早く窓開けて壁の向こう側に送って!」
「「…っ!」」
ルーンは何か鬼気迫るものを感じさせる表情と声で威圧するようにそう言うと、シルクとフィアの2人もその圧に圧倒される感触を覚え言葉につまった。
「…はっ、ご、ごめん。変に声を上げちゃって…」
「だ、大丈夫だよ。ルーンも疲れちゃってるんでしょ。ほら、さっさと行ってきて朝方にはベットで眠れるくらいのハイペースで頑張ってきて」
「う、うん。しっかりマッピングしてくるよ」
この会話のあと、3人は食堂の扉の目の前にある窓の氷をフィアが破壊し、シルクが箒の後ろにルーンを乗せて壁の向こう側に送りとどけた。
「ルーン、不要な戦闘は避けてね。間違っても1人で見つけたクラン潰しに行こうとしないでよ」
「それくらいわかってる。私は…いや、私たちはまだ負けられないから。ましてや、私の身勝手な行動なんかで…それじゃあ、いってきます」
ルーンは先ほどと同じ雰囲気を出していたが、それは一瞬でありルーンがその感情を押さえたような感じだった。その後、シルクは箒を使い、開いている窓から洋館に戻った。
「はぁ、ルーンちゃんも無茶するなぁ。あんなに疲れてるなら私たちにも頼れば良いのに…」
「そんな疲れてるとか言う次元の話じゃないですよ。あの状態のルーンは、いや…奈月は危ないです」
「それってどういう意味なの?」
シルクの深刻そうな顔にフィアも何か良くないことがあると思い、いつもより真剣な声色で質問した。
「あんまり人の過去を話したくはありませんが、フィアさんならやがて知ることだと思いますから、少し話しておきます。それに今、言わないとフィアさんも変に気になるでしょうから…」
「それって…あの事故が関係してること?」
「いや、あの事故は関係ありません。ただ、ルーンには小さい頃からあんな風になるときがあるんです。まるで何かに取り憑かれて周りが見えなくなってるみたいなことが」
シルクはそう前置きをすると、真剣な顔そのものでフィアにルーンの過去について話し始めた。




