ランキングと防衛戦力
「ふわぁ~ルーン、ボクもっと寝てたかったんだけど…」
「今は寝てても良いですよ。みんなで集まってランキングの結果の作戦を練りたかっただけですから。できれば私としては参加してほしいですが2時間後に本気で戦闘ができて作戦を実行できるのであれば私は何も言いません」
ルーンの優しさとも狂気ともとらえられるその笑顔は周りを凍りつかせ、同時に目を覚まさせた。
「ひっ!分かったよ。そんなに怖い顔しないで」
「えっ…そんなに怖かったですか?私の顔」
ルーンがそう言うと全員がルーンと目を合わせず、気まずい空気が流れた。そんな空気を察したのかエイルが話をこんなことをしている間に発表されたランキングに変えた。
「そ、そんなことよりもうランキング発表されてるよ。ほら、僕たちの順位は…」
「【ミルキーウェイ】、【蒼空学園】に次ぐ3位じゃないですか。すごいですよ師匠、あの爆撃作戦がかなりのポイントになったんですよ」
「っていうか、もう参加クランの半分が潰されてるじゃねぇか!中規模クランも3割くらいは潰されてるし…」
ブランやシュウの言う通り、【犯罪者の夜】は3位という高順位であったものの1日目に標的にしていた小規模クランを中心に全体の約半分のクランが早々とゲームオーバーになっていた。
「う~ん、これはルーンちゃん的にはどう思う?想定より展開が早い感じかな?」
「はい、このイベントは時間が経つと色々と小規模クランに有利な特典があるイベントですからね。それを早々に潰したいってのは私たち以外も考えていたのでしょう。なので、予定より少し展開が早くなりそうです」
「それで、先輩は今日の作戦を練るって言ってましたけど、これからどうするんですか?」
アヤメの疑問に答えるようにルーンは自慢気にアイテムボックスから複数枚が束になっている紙を取り出し、2ページ目をアヤメに渡した。
「これは…タイムシフト表?2日目って書いてあるから今日のことだって言うのはわかるんですけど、一体なんのシフト表なんですか?」
「それは【FirstStars】に渡したものと同じものだよ。あのクランとの同盟はこのイベントの要とも言えるからね。私たちは【FirstStars】とその傘下のクランに手を出さない代わりに防衛戦力を手に入れたって訳ですよ」
ルーンは自慢気にそう言うと、残りの紙も他のメンバーに配り全員を食堂の長机の椅子に座らせた。
「へぇー、それじゃあこのシフト表に書いてあるのは【FirstStars】のメンバーに防衛に来てもらう時間とその人数を指定した数字なんだね」
「うん、そういうこと。つまり、これからは外に高ステータスの警備隊、内には氷の要塞と私たちがいるっていう鉄壁の布陣がある。それを踏まえてこれから作戦を練ろうと思います」
ルーンはさっきとは違い、目一杯の愛情を振り撒くような笑顔でしきり始めた。




