洋館の見回り
時間は刻々と過ぎ23時半、薄暗い洋館内をシルクとアヤメは氷に反射した月明かりと持っているランタンの光りをたよりに見回りをしていた。
「ふわ~、シルク先輩こんな見回り意味があるんですかね?もうここはただの洋館じゃなくて、フィアさんの氷で覆われて入る場所も出る場所もない要塞ですよ」
アヤメの言う通り作戦会議後ルーンの提案で洋館の扉や窓を内と外の両面から氷で覆い、更にその上で洋館の周囲に氷でできた壁を作り、外からの侵入を防ぐ要塞のような見た目と機能になった。
「たしかにそうだけど、ルーンいわく氷で覆う前に入り込んでいるプレイヤーもいるかもしれないから念のため夜の間は見回りをしてほしいだって」
「それで、肝心のルーン先輩は今どこにいるんですか?作戦会議のあとに渡された紙にはルーン先輩の見回りのシフトは入って無かったですしあの人は何をやっているんですか?」
「あぁ、それなら外に出て周囲に他のクランの拠点が無いか探しに行ったんだよ。ほら、ルーンのスキルって夜の隠密に向いている構成だし」
ルーンは自身のスキルと無尽蔵の体力を武器に他のクランの場所を把握するために外に出ていた。これは今後にも影響してくる大事な仕事だとシルクだけに話していた。
「それに、ルーンは日付けが変わる前には一旦帰ってくるって言ってたよ」
「別に帰ってくるとかは問題ないと思うんですけど、この氷の要塞にどうやって帰ってくるんですか?いくらルーン先輩でもここには入れませんよ」
「それなら大丈夫だよ。ルーンが帰ってきたらメッセージを…おっ、もう着いたみたい。アヤメ、フィアさんを起こして窓の氷を1つ解除してもらいに行って」
「は、はい。わかりました」
シルクはアヤメにフィアを起こすように指示をだし、アイテムボックスから箒を取り出した。そして、アヤメがフィアを起こし氷を解除してもらうと、シルクはその窓から箒きを使い飛び出した。
「シルク~ここだよ。ここ~」
「おっ、いたいた。それで、成果はどうだった?」
シルクはルーンの呼ぶ声を聞きそこへ向かい、壁の外で手を振っているルーンを見つけるとシルクはそこに箒をおろして、後ろにルーンを乗せ洋館のなかに戻っていった。
「成果の方はあとで説明するけど、私が一旦拠点に戻ってきたのは1日目のランキングを見るためだよ。フィアさんは窓の氷をもとに戻してシルクとアヤメは私と一緒に他のメンバーを起こしにいこう」
「あぁ、そういえばもうランキングの時間だったね。わかった、他のメンバーを起こしてくる!」
「わかりました。私も行ってきます!」
「私の方はちゃっちゃっと出来ちゃうものだから…【フリーズドライ】私もみんなを起こしに行くよ」
ルーンの指示を聞いた3人は各々のやることをやり、他のクランメンバーを起こすと全員がクリスタルのある食堂に集合し0時に発表されるランキングを見ることにした。




