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天からの光景1

イベントマップ各地で謎の大爆発が連発しているころ、運営のモニターで見ていた森田は唖然とした顔をしていた。


「き、絹塚さん、今の爆発はいったい…」


「う~ん、俺もよく状況はわからないけど、その大爆発に巻き込まれて各地の小規模クランが次々にクリスタルを破壊されてゲームオーバーになってるね」


「それって、てきとうに爆発させてるんじゃなくって狙って爆発させてるってことですよね。でも、そんなこといったい誰ができるんですか?」


「あぁ、そのことなんだけどこれを見てくれ」

絹塚はそう言うと森田にパソコンの画面を見せてきた。それは10分ごとに変動するランキング、つまり10分ごとの獲得ポイントをみることができるものだった。


「このランキングですか。でも、普通に上位陣は大規模以上のクランばかりですけど…」


「いや、それより注目してほしいのは中盤のランキングここに多くの小規模クランが入っている」


「たしかに…ですがそれにこの爆発と何の関係が…」


「今のは1つ前のランキングだ。そして、これが最新のランキング、つまりあの連続大爆発が起こったあとのランキングだな」

そう言って絹塚が森田に見せたランキング表には驚くべきことが書かれていた。


「これの何が…っ!さっきまで中盤のランキングに入っていた小規模クランがことごとく敗退してる…」


「あぁ、そうなんだ。そして、そのポイントたちはどこにいったのか。ランキングを見比べてごらん」

森田は絹塚に言われた通り、2つのランキングを見比べるとそのポイントがある1つのクランに集められてた。


「現在【犯罪者ギルティナイト】がランキング32位から一気に3位が位まで上がってます。ってことは…」


「その通り、この小規模クラン大量爆殺事件の犯人は【犯罪者ギルティナイト】で間違いない。そして、その被害者はトップ12のフィア、エイル、ルーンの3人が率いていたプレイヤーたちが所属する小規模クランたちだ」


「それって、つまり…」


「うん、何の意図があるのかは知らないけど【犯罪者ギルティナイト】は同盟を結んでいたであろう小規模クランを裏切ったってことになるね。しかも、この状況だとかなり綿密な作戦をたててたと思うよ」

そう言うと絹塚かはパソコンにルーンが小規模クランと接触しているシーンを映した。


「このシーンで彼女は協力してくれたお礼などと言って他のクランにあるものを配っている。たぶん、防衛に役立つものとか緊急の連絡手段とか言ってね」


「それはなんとなく僕でもわかりますけど、それがどうかしたんですか?」


「結論から言うとこれが爆弾。次のシーンでこの小規模クランの男は他のクランメンバーに渡して、これをクランの拠点に持っていくように指示をするよ」

絹塚の言う通り、その後受け取った男は他のクランメンバーにそれを渡し、クランの拠点に運ばせた。


「たしかにこれなら爆弾を相手の拠点に運ぶこともできますけど、確実性が低すぎませんか?例えば、運んでいる途中に他のプレイヤーに襲われたり、アイテムボックスに入れたままにされたり…」


「そこも計算にいれているんだろう。他のプレイヤーに襲われてもこれを持ち帰ることを優先させて逃げさせれば良いし、アイテムボックス内でも爆発させるように時限式にすれば良い」


「絹塚さんの言う通りなら1つ目は可能でしょうけど、2つ目の機能の爆弾なんて作れませんよ」


「いや、作れるプレイヤーならこのゲームで1人だけいる。しかもそのプレイヤーは【犯罪者ギルティナイト】に所属してる奴だ」

絹塚の言葉に森田はハッとなった。たしかに絹塚の言う通り、これが可能なプレイヤーがいたのだから。


「エイル…ですか?」


「そうだ。彼の二つ名のスキルならカモフラージュ用の見た目と機能を付けつつ、アイテムボックス内でも爆発させることができる超高威力の爆発物を作れる」


「こ、これはなんて言えば良いんでしょうか…。言葉を選ばないとするならクランの名前の通りの犯罪者集団ですよ」


「あぁ、これ以外にも大罪シリーズ持ち、オリジナル属性持ち、トップ12以外の唯一の二つ名持ち、神具レベルの盾持ち、ぶっ壊れ魔法使いに人型レベルのNPCがいるクランってのが末恐ろしいもんだよな」

改めて【犯罪者ギルティナイト】のヤバさを再確認した森田は大きなため息をついたが、絹塚は逆に面白いものを見させてもらったという満足気な顔をしていた。

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