第4回イベント1日目4
ーギャァァァーーー!ー
静かな森に響き渡ったこの叫び声はもちろん洋館の正面にいるルーンたちの方にも聞こえてきた。
「い、今の叫び声は…!」
「どうやら、洋館のなかに大きなハエが入っていたようですが、潰すことが出来たので良かったです。まぁ、私たちとしてはそのハエがどこかの協力クランに所属していないことを祈るだけですけど」
ルーンはそう言うと忍びこませた男たちの方を蛇が獲物を睨むような圧の睨みをくらわせた。
「そ、そうだな。全く…どんな奴らだよ…」
「ルーンちゃん、そろそろ他のクランも来る感じだからここら辺にしておこうか」
「そうですね。他のクランの方々に怖がられても困るだけですからね」
ルーンはいつもの穏やかな表情に戻ると、エイルとフィアと共に続々と集まってくるクランを対応していった。
「よし、そろそろ1班は出来るくらいの人数は揃いましたね。私がこの人たちを引き受けます」
「じゃあ、行ってらっしゃい。ルーンちゃんの次は僕、フィアの順番で良いんだよね」
「頑張ってね~」
「はい、この後のこと色々とお願いします」
ルーンは約500人近く集まった別々のクランの集団を先頭に立って先導して行った。
ルーンたちの集団が歩き始めてから30分、見つけた近くのクランの拠点を襲撃していた。
「くそっ…なんだこの集団は…多すぎて対応が…グハッ!」
「今です!クリスタルに一斉攻撃をしてください!」
ルーンの指示で放たれた魔法や矢がクリスタルのHPをガンガン削り、ルーンを含んだ近接部隊が最後を決めた。
「おーし、やったぜ!クリスタルまず1つ破壊!」
「この調子なら他の小規模クランもどんどん潰せるんじゃねぇか」
息巻いている小規模クランのメンバーたちとは逆にルーンは冷静そのものだった。
「すみません。今、何時ですか?」
「えっと…もうすぐ2時半ですけど、それが何か?」
「それなら潰せるクランはどんなに早くいけても7、8個が限界ですかね」
ルーンのこの発言に他のクランのメンバーは何でだという雰囲気になっていた。
「おい、それはどういうことだよ!」
「簡単です。夜の集団行動は見つかりやすい上に夜襲を受ける可能性が高いから避けたいんですよ」
「そういうものなのか…それならきりあげる時間は何時くらいにするつもりだ?」
「6時くらいにきりあげるつもりでいるけど…まぁ、明日もあるし焦らずに行きましょう」
ルーンの説明に納得する者も多く、ルーンたちのグループはこのような方針に決まったが、ルーンには他の策略があった。そして、ルーンのこの策略がのちに大事件になることは今ここにいるルーン以外のプレイヤーは知るよしも無かった。




