第4回イベント1日目2
フィアは拠点である洋館の屋上に登り、辺りの状況を一通り見てから魔法を放った。
「【白銀の世界】【氷結地獄】【雪降らし】」
「ふぅ、この程度で十分かな。これならルーンちゃんが言ってた通りに集まってきそうだ」
フィアがそう言って屋上からクリスタルのある食堂に戻るまでに洋館の周辺は雪や氷で覆われ、窓や扉も凍り閉ざされた状態となった。
「さすが、フィアさんです。これなら他のクランもここが【犯罪者の夜】のクランの拠点って分かりますからね」
「あぁ、リーダーの作戦通りなら大抵のクランはこっちに寄ってこないが、それを合図とすれば協力関係の小規模クランだけが集まってくるはずだな」
「それじゃあ、ルーン先輩たちは予定通り拠点の外に出て協力関係のあるクランのメンバーさんたちを入口の前に集合させといてください」
「了解、さすがに今日は他のクランも派手には動かないはずだけどクリスタルはしっかり守ってよ」
ルーンがそう言うと1日目の守備担当であるシルク、アヤメ、アニ、シュウ、ブランが頷いた。
フィアの雪を見た近くの共闘クランはさっそく拠点である洋館に向かっていた。
「おい、あともう少しであのデカイ洋館に着く。お前らはここからは俺たちとは別行動であの洋館のなかにあるはずのクリスタルを破壊しろ」
「了解だ。お前らも悟られるんじゃねぇぞ。トップ12が4人もいるクランだ。バレたらただじゃすまねぇからな」
男たちは50人近い集団から3人が抜け出し、別行動で不意を突きクリスタルを破壊する作戦をたてていた。それから数分後、洋館の目の前にいるルーンたちを見つけた。
「おぉ、約束通りみたいだな。ちゃんと、トップ12が共闘してくれるみたいだ。これ以上、頼りになる戦力なんて他にそうそういないぜ」
「私たちに協力してくれてありがとうございます。念のためなんですけど…これ、協力予定のクラン全部に配るつもりで用意した特性の緊急時の連絡用設置型アイテムです。誰か足の速い方がクランの方に持っていってくれるといざというとき防御に迅速に向かえますから」
「何から何まで悪いな。おい、お前!これをうちの拠点に持っていけ。こんな良いアイテムはをもらって使わない手は無いからな」
男はそう言うと、クランメンバーにルーンからもらったアイテムを渡し、すぐに拠点に帰らせた。
「お宅のクランが一応、一番乗りということなので少し待ってもらえると助かります」
「そうか、分かった。それで、俺たちはどれくらい待つことになる?」
「申し訳無いですけど30分から1時間くらい…他のクランの到着状況にもよりますから」
「待ち時間は長いがまぁ良いだろう。なんてったって5日間もあるんだからな。がっはっはっ」
男は作戦のこともあり余裕そうに笑っていたが、洋館のなかで今何が行われているなんて知るよしも無かった。




