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疑いの目

ルーンがクランハウスに帰ると、観戦していたメンバーにブランと一緒に囲まれた。


「えっと…これは何ですか?」


「ルーン先輩、さっきの戦闘中ブランと何を話してたんですか?私たちの耳にはメンバーを丸め込むとか言ってたような気がするんですけど…」


「えっ!まさか…」


「はい、どうやら師匠と私の戦闘中の会話が皆さんに筒抜けだったようです…」

ブランは申し訳なさそうにルーンにこの状況になった経緯を簡単に説明した。


「みんなそれなんだけど、決闘場に行く前に言った通り言えるかもしれないし、言えないかもしれないって理由で…まぁ、今はブランについては話せない感じなんだよね…」


「そ、そんなに隠したいことなのかい?」


「お願いします!私のことには特に触れないでください!そして、クランに入れてください!」


「こ、こいつ…どこまでもワガママだな…」

ブランが頭を下げながら言ったワガママでしかない言葉に全員若干ひいていた。


「クランに入れるって言っても、こうもあからさまに素性を隠したがるのは怪しすぎるんじゃないの?」


「そこは大丈夫です。ブランは過去に他のクランに所属していたことは無いですし、このゲームも始めたばかりなので決してスパイではないことは私が保証します」


「へぇー、始めたばかりなのに今私たちの前でナックルとはいえルーンちゃんと良い勝負して、前には1度実質的に勝ってたんだよね…?」


(やばい…言い逃れする方向間違えた…。これじゃあ八方塞がりじゃん…)

フィアに見事に嘘の部分だけをつめられ、ルーンは急いで頭をフル回転させた。


「フィアさん、その前に私がルーンに聞きたいことがあるんですけど良いですか?」


「良いけど、シルクちゃんはブランちゃんのことについて見当がついてるの?」


「はい、さっきの戦闘で気がついたんですけど…ルーン、変なこと言うかもしれないけどブランってもしかしてじょろ…ふがっ!」

シルクが女郎蜘蛛と言おうとした瞬間、ルーンとブランがしっかりシルクの口をふさいだ。


「シルク、分かってても絶対にその名前を口に出さないで。ブランがどうなるか分からないから」


「シルクさん、言わないでくださいよ。言ったら私、今度こそなにされるか分からないですから」

2人はシルクの耳元でそうささやくと、シルクは何かを察したような顔をした。


「分かったよ。ルーン、ブラン、私は2人を信じるよ。まぁ、ルーンはこうなったら首が取れても喋らないからね。とりあえず、ルーンがこう言ってるから一旦ブランについて詳しいことを聞き出すのはやめない?」


「はぁ、わかりました。シルク先輩がそう言うなら…私はルーン先輩の首を落として聞き出せるか実験します」

アヤメはそう言うと、大鎌をアイテムボックスから取り出しルーンの首めがけて振った。


「うわっ!…寸止め…?」


「ふふっ、驚きましたか?ちょっとした冗談ですよ。さすがに1000人殺ってるからってクランのトップの首に鎌を落とすような真似はしません」

アヤメは悪戯顔で笑いながら、そう言うとブランに手を差し出した。


「あなたが何者なのかは知らないけど、先輩たちが大丈夫って言ってるなら私も強い人がクランに入ってくれることはありがたいから、よろしく」


「アヤメちゃんだっけ?とりあえず、これからよろしくね。あと…」


「何?聞きたいことがあるなら何でも聞いてよ」


「いや、そういうわけじゃなくて…一応私の方が年長者になるからってことを伝えようか迷っただけ。なんなら、私はルーンの何十…ふがふが」

ブランが口を滑らそうとしたので、ルーンはそれを止めるためにブランの口をふさいだ。

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