近接戦闘
観客席でクランメンバーがルーンとブランの発言に疑念を抱いていることなど知らず2人の戦闘は白熱していった。
「くっ…やっぱり師匠はやりますね」
「まぁ、これくらい出来ないとダメだからね」
「じゃあ、これはどうですか!【解放10%】」
ブランがスキルを唱えるとブランの右腕が女郎蜘蛛のときのものに変化した。
「うわっ!ブランそれここで出して大丈夫なの?」
「大丈夫ですよ。これも一種のスキルですから」
「じゃあ、やらせてもらうよ!【加速】」
ルーンは【加速】でAGIを底上げしてブランに接近すると、すかさず胴体に一発入れようとした。
「おぉ、速いですね師匠、ですが…【パラライズアーム】」
「くっ…」
ルーンの攻撃を防ごうとしたブランの右腕に違和感を感じたルーンは瞬時に体勢を変えてその腕に触れないように避け、距離をとるためにその場を離れた。
「あーあ、師匠が私の腕に触れてくれれば痺れて楽に倒せたのに…残念」
「パラライズって言葉のおかげで気づけたよ」
「うーん、やっぱり技名を叫ぶこの身体は使いにくいなぁ。でも、あの人の命令だからしょうがないんだよね」
そう言うと今度はブランがルーンに接近し、右腕でルーンを凪払おうとした。
「これを待ってたよ!【上段回し蹴り】」
「うっ…これくらい簡単に避けられ…っ!ぐわっ…目が!目がぁぁぁ!」
ルーンはブランの攻撃を避けると、反撃に顔に一発を入れようとしたのをブランがすんでのところで回避したと感じた瞬間、目を切り裂かれた。
「ふぅ、やっぱりエイルさんと協力してブーツにナイフ仕込んどいて正解だったよ。これなら不意を突いた攻撃も出来るし、今のブランみたいに目を潰せる!」
「グハッ…この前、戦ったときはそんなもの無かったはずですよね師匠」
「それについてはこの戦いが終わったあとにでも、話してあげるよ!【ムーンサルト】」
目を潰されたブランはルーンとの間合いを把握することが出来ず、攻撃をもろにくらってしまった。
「ブランのHPは残り2割…これで終わらしてあげるよ。【影分身Ⅱ】【かかと落とし】」
「くっ…上からの攻撃か…」
ブランはメタ読みで上の防御を固めようとして右腕を振り回したが、ルーンの分身が消えるだけだった。
「ざんねーん、私は下だよ!【ローキック】」
「うぐっ…さすがですね師匠…」
ブランはHPが0になり光となって消えていく間にそう言い残してルーンの方向を向いた。
「よし、とりあえずこれでリベンジは達成したってことで良いのかな?」
「まぁ、とりあえず私もクランハウスに帰りますか」
ルーンはそう言ってパネルを操作して、決闘場からクランハウスへと戻った。




