他クランとの差
「ふぅ、良かったです。シュウさんなら軽々しくもといたクランのこと喋らないと信じてました」
「リーダー、今のってもしかして…」
「はい、すみません。疑ってた訳では無いんですけどちょっと釜かけさせてもらいました」
ルーンはそう言って悪戯な笑みを浮かべると、今度はシュウがホッとした顔をした。
「まぁ、俺は違うクランに所属してたこともあるし、これで信用してもらえるなら嬉しいよ」
「はい、シュウさんのことは信用します。ですが、【蒼空学園】の情報はもう【情報屋】からエイルさんが買っています。ちなみに映像付きで」
ルーンがそう言うとエイルはモニターに今度は【蒼空学園】のプレイヤーの戦闘していう映像を流した。
「【蒼空学園】の強みはなんといってもその集団戦闘能力の高さにあると思います」
「それって、つまりどういうこと?」
「それを証明するためのこの映像ですよ。見ていれば私の言いたいことが分かります」
ルーンに言われるがまま【蒼空学園】の戦闘を見ると3層のフィールドボスの一体であるクイーンサンドコブラをレベル差がありながらも圧倒していた。
「なるほど、後衛にいるヒーラーが相手の攻撃パターンを読んで全体に指示を出し、前衛はそれにこたえるように攻撃を躱しつつ着実にダメージを与えてますね」
「それだけじゃない。ヒーラーと一緒に後衛にいる魔法使いや弓使いも弱点攻撃でダメージを与えつつ、状態異常やステータス低下させてる上にしっかりタンクが相手の遠距離攻撃を受けてカバーしてる」
映像を見ながらアヤメとアニは冷静にしっかりと【蒼空学園】の分析をしていた。
「2人の言う通り各々が役割を果たす団体行動が【蒼空学園】の肝であり、この様な小隊をいくつも作ってくるのがシンプルであり、厄介なところでもあります」
「この映像には映ってないけどシュウくんと因縁があるトップ12のキョウヤにアスタロ、フィアに続くトッププレイヤーの双子フゥーとライカもここのクランにいるよ」
「はぁ、これじゃあ俺が喋ろうと変わらねぇじゃん。あと、小さいことだが双子の方は基本的に小隊には属してないぞ。単独行動か、2人での行動がほとんどだ」
「今、シュウさんの言った情報もエイルさんが仕入れた情報のなかに入ってますね…。信憑性はかなり高い情報ってことがわかっただけで十分です」
ルーンはそう言いながら何やらメモをとり、情報をまとめているようだった。
「とりあえず、他にも脅威になるクランはいくつかありますが次のイベントで最大の敵にも味方にもなりうる3つのクランについて話したけど、うちと比べてどう思います?」
「う~ん、正直うちと比べるとどこも人数は多いし、連繋もかなり上手い」
「それに加えてうちにいるトップ12以外がそのどれかのクランに属しているってことは敵になったときには戦いたくない、味方になったら心強いって感じですかね」
「でもうちは数もわざと少数精鋭にしているし、連繋についてもこれからやっていけば…」
ードンドン、ドンドンー
シルクがフォローの言葉を言いかけたとき、クランハウスのドアを叩く音がした。




