未確認情報
ルーンはツクヨミと女郎蜘蛛と別れて、魔方陣で3層の街に戻ると先に戻された3人が待っていた。
「ルーン、あの後どうなった?勝てたの?」
「いや、結構頑張ったけど最終的には負けたよ」
ルーンはチェインやリリスがいる前だったのでツクヨミとのことなどは喋らず、負けてしまったことにした。
「事情はリリスとシルクから聞いたけど、大変だったな。俺もあそこで捕まらなければなぁ」
「あの…私もあ、あまり役にたてなくて…すみません…」
リリスはシルクの後ろに隠れるようにして所々つまりながらルーンに声をかけた。
「あっれぇ、戦闘中は敬語だったけどしっかりとルーンと喋れてたのにどうしちゃったの?」
「う、うるさいシルク!私はスイッチが入るとそれなりの対応はできるんだよ!」
「リリスもそんなに恐れること無いんじゃないの?ルーンと今回共闘して恐い人じゃないって分かっただろうし」
リリスはチェインにそう言われ、少し考えてから首を横に振った。
「いや、たしかに普段は恐くないけどそんな人が怒ったときが一番恐い」
「はぁ、なんだかんだで一番私が傷つくんだけど…まぁ、とりあえず今日は解散ってことで…」
「ちょっと待って!私たちが戦ってる間にチェインさんが調べてくれたことで気になることがあるんだけど…」
ルーンがクランハウスに帰ろうとするとシルクがそう言ってルーンを止めた。
「気になることって?」
「まぁ、これは調べた俺から喋らしてもらうけど良いか?そっちの方が正しく伝わるからな」
「別に私は話す人は誰でもいいですよ」
ルーンがそう言うとチェインはシルクとリリスに一瞬目を向け、ルーンに話し始めた。
「俺はゲームオーバーになってからあの女郎蜘蛛に弱点はないのかと思って一旦ログアウトしてネットで情報を探してたんだ。まぁ、良い情報があればメッセージで送れるからな」
「はい、それで何か見つかったんですか?」
「いいや、その逆だ。何も見つからなかった。どこにもあの女郎蜘蛛の情報が無かった」
「それって、あのルートはほとんどの人が行かないから情報が少なかったんじゃないですか?」
ルーンの考えはもっともであったが、チェインはそれに関して首を横に振った。
「いや、そもそもあのダンジョンのボスに女郎蜘蛛はいなかった。あのルートは普通だと金剛石蜘蛛っていう異様に硬い蜘蛛がボスのはずだった」
「それって、私たちが何かしら特殊ルートのトリガーを引いたってことですか?」
「あぁ、ネットにあのおしゃべり蜘蛛の情報が無いってことはかなり珍しい特殊ルートだろうな」
ルーンはそれを聞いて完全に自分がツクヨミと接触していたせいだと感じた。
「それで聞きたいんだがなんか特殊ルートになりそうなトリガーになりそうなもの知らないか?」
「うーん、知りませんね。もし、知っていても他のクランのチェインさんにもリリスにも教えるわけ無いですよね」
ルーンが笑顔でそう言うとチェインは納得したような顔をして言い返した。
「まぁ、そうだよね。さすがにクランリーダーが情報をべらべら話すのは危ないからね」
「はい、もちろんそれくらいのことは心得ています」
「じゃあ、また今度。次に会うときはイベントのときの約束の決闘をしようか」
「いいですよ。負けませんけど」
そう言うとルーンはシルクを連れて、チェインはリリスを連れてそれぞれのクランの方向へ向かっていった。




