継承者
2人のにらみ合いが続くなか、始めに動いたのはルーンの方だった。
「【シャドウカッター】【加速】」
「ふっ、こんなもの…っ!」
ルーンが放った斬撃波を女郎蜘蛛は自分の髪で防御しようと自身の身体を覆ったが斬撃波はそれも透き通り、女郎蜘蛛にダメージを与えた。
「ざんねーん【下段回し蹴り】」
「うおっ…!」
ルーンはAGIを上げ、意表を突かれた女郎蜘蛛に接近すると女郎蜘蛛の足を払うようにして体勢を崩させた。
(よし!体勢を崩せ…っ!)
「おっと、危ないのぉ。この形態だと体勢を崩せれても髪でバランスとれるから大丈夫だっ!」
女郎蜘蛛は髪で自分の身体を起きあがらせると、すぐに髪でルーンを凪払った。
「うわっ!と、簡単には攻略できないか…」
「今の妾の攻撃を躱せるなんてさすが…しかし、そちとてこれは躱せまい!」
そう言うと女郎蜘蛛は自身の白い髪をうねらせ、鋭い触手の連撃をルーンにくらわせた。
「うっ…攻撃がさっきの比にならないくらい速い…」
「ふふっ、そちは妾の攻撃を避けるのに精一杯か…。それに、もうこっちの魔法使いはもう終わりだな」
(くっ…シルクのHPはもう1割を切ってる。それに今の私がシルクの回復に隙を作れば私も殺られる…)
ルーンはそう思いシルクの方を見るとシルクはルーンに向かって目で合図をした。
(私のことは別に気にしなくて良い。ルーンは女郎蜘蛛のことに集中して!)
(りょ、了解!)
シルクはルーンに目で合図を送ると、まもなく毒で残りHPが1となった。
「じゃあ、これでそちも終わり…」
「ぐはっ…!」
女郎蜘蛛はシルクの残り1のHPをあっさりと削り、ルーンとの戦闘を継続した。
「これで全神経をそちに注げることができる…」
「ぐわっ…!これは全く手がだせなっ…」
ルーンは更に攻撃速度が上がり、炎を纏った髪の攻撃をギリギリで避け、つまずいてしまった。
(やばい、もう避けられない!けど、まだあれが…)
「ぐはっ…!」
「なっ…倒せない…だが…」
ルーンは【月夜の護り】で女郎蜘蛛の攻撃を1度受けることができたが、すぐに第二撃がルーンを襲った。
(これを受けたら終わる!でも、身体が動かない…。ここで終わりか…)
ルーンは覚悟を決め、目をつぶり最後のときがゆっくりと流れるのを感じた。
(あれ?ダメージをくらうときの痛みがこない?女郎蜘蛛はどうなって…)
「なぜ、どうしてあなた様のような人がここに…」
ルーンが目を開くと顔を真っ青にした女郎蜘蛛とルーンの見覚えのある神々しい光を放つ女性がいた。
「女郎蜘蛛、お主は妾の弟子のはず。妾の力を継承した者を食らおうとはいいご身分だな」
「継承者…はっ、もしかしてそちはツクヨミ様の力を継承したとされる…」
ルーンの目の前に立っていたのはかつてルーンに様々なものを与えた神、ツクヨミだった。




