女郎蜘蛛の覚醒
3人は意表を突いた作戦を成功させてからは逆に、女郎蜘蛛に攻撃を当てられなかった。
「くっ…全く攻撃が当たらない」
「シルク、なんか女郎蜘蛛のスピードが速くなってない?特に回避行動をとるときの反応速度が」
「そうだね。子蜘蛛の方は全部倒すことはできたけど、私の魔法が全く当たらない」
「そちたちはやってくれると思っていが、妾が本気を少し出すだけで当てられないとは…」
女郎蜘蛛はそう言いながらルーンとリリスの同時攻撃を捌き、シルクの魔法を避けた。
「っ…同時に攻めようとしても駄目か。下手に正面から攻めたらあの蜘蛛の巣で張りつけにされるし…」
「ルーン!なんか策は無いの?さっき私がやったんだから今度はルーンの番でしょ」
「無いよ!そんなのあったらもうやってるし!」
「そろそろか…。そちたちに妾の本当の姿を見せてやろう。腹も減ってきたからな」
女郎蜘蛛は右腕に力を込めると身体から衝撃波と同時に、光も放った。
「うっ…まぶしっ!」
「なっ…!これは…」
3人の前に姿を現したのは大きな蜘蛛の頭部に女郎蜘蛛が埋まっている状態の形容しがたい生物だった。
「この姿は少し気にいらんが、人型のときの力の比にならないほどの力があるからな」
「うっ…めんどくさそうなタイプになちゃったよ」
「えっ、でも大きくなった分攻撃は当てやすいはずじゃ…」
「はぁ、シルク女郎蜘蛛のHPバーを見て」
リリスが指さした先にある女郎蜘蛛のHPバーは人型のときの3倍はあり、しかも全回復していた。
「うわっ、全回復してるじゃん」
「そろそろ、今生での会話はすんだかのぉ。あとはゆっくり妾の腹のなかでしてもらおうか」
女郎蜘蛛は3人の足下に向かって糸を放ち、ねばねばとした糸で地面を覆った。
「くっ…動きがとれない…」
「しょうがない。シルク、ルーンさん、私に掴まって!少し飛ぶよ!」
2人はリリスの打開策にのり掴まると、リリスは翼を羽ばたかせ粘着質の地面から抜け出した。
「よし、抜け出せ…うっ、ぐっ、カハッ…」
「「リリス!」」
リリスが羽ばたき、ある程度の高度まで飛ぶのを見ると女郎蜘蛛は細長い槍のようなものを飛ばし、リリスに突き刺し撃ち落とした。
「う、【受け身】」
「くっ…とりあえず箒を出して…リリス!」
ルーンは【受け身】で落下ダメージでの死をさけ、シルクは空中で箒を取り出し、リリスの下に回り込み箒でなんとか落下死だけはさけることができた。
「リリス、大丈夫?」
「あぁ、ありがとうシルク。うっ、毒か…シルク今、私のHPどれくらい残ってる?」
「えっ、5割だけど毒でどんどん減ってきてる!今、回復するから…」
「シルク、止めて!回復魔法は隙が出るからシルクまでやられる…。それに私にはちょっとした秘策があるから…。まぁ、あの人の前では見せたくなかったけど…」
リリスはそう言いながら地面に倒れこみ女郎蜘蛛の注意を引きつつ、自分のHPを回復させているルーンを見た。
「秘策が何かあえて聞かないけど、毒でダメージをくらってたいなら私は毒もHPも回復させてあげないよ。それもその秘策のためなんでしょ」
「そうだよ。シルクは、さっさとここを離れて。今、翼も脚も槍を持つ腕もやられた私は足手まといだから」
リリスの言葉信じ、シルクはルーンがひきつけてくれている女郎蜘蛛の周りを箒で飛びながらタメが少ない魔法を使い、リリスの秘策のための時間を稼ぐことにした。




