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糸を引く者

チェインが子蜘蛛の放った炎に焼かれ、ゲームオーバーになると女郎蜘蛛の糸が全て消滅し、シルクを張りつけ状態にしていた蜘蛛の巣の拘束も解かれた。


「うおっ、糸が無くなった。うん、今まで通り動けるし魔法も使える」


「おぉ、子蜘蛛たちの炎に焼かれても傷1つないとはすごいのぉ。まぁ、男の方はすぐに焼き消えてしまったが」

女郎蜘蛛はそう言いながらさっきまでチェインが張りつけになっていた場所に一瞬だけ目をそらした。


「ちょっ、なんでシルクは無傷なの?チェインの方がシルクより防御力は高いはずでしょ」


「そ、それは今関係ないでしょ。それよりも3人で女郎蜘蛛を倒すよ!」


「は、はい…」


「そうだね。ここまで歩き続けてやっと着いたと思ったらいきなり張りつけにされるんだもん。ストレスがたまらないわけないでしょ!【トリプルランス】」

シルクが放った3色の魔法でできた槍を女郎蜘蛛は回避行動をせずに躱した。


「そちは賢いのぉ。妾が今まで攻撃には全て回避行動をとっていたのを見て避けると予想しておったのであろう。避けていたらどれかが直撃していたわ」


「まぁ、確かにあなたに当たってくれれば一番良かったけど、目的の子蜘蛛は何体か倒せたし十分でしょ」

シルクはそう言い、女郎蜘蛛の足下を指さすと数体の子蜘蛛が消えて失くなった。


「なるほど…妾への攻撃とみせかけて炎を吐く子蜘蛛を片づけたのか」


「そうですよ。私としては2つとも上手くいったと思うんだけどどうですか?」


「2つともって…はっ!」

女郎蜘蛛はシルクが含みを持たせて言ったこの言葉に何か引っかかったと思うと、その理由はすぐにわかった。


「そち、残りの2人はどこに行った…」


「ふふっ、気づきましたか。でも、もう遅いですよ」

女郎蜘蛛はさっきまでシルクのとなりにいたはずの2人が居なくなっているのに気がついた。


「今さらですか?【トリプルスラッシュ】」


「案外隙は多いですよね【聖槍一閃突き】」


「ぐっ…あ、あのときか…」


「そうです。私があなたの足下を指さしてまんまとあなたは下を向いてくれましたよ!【レヴィアタン】」

3人の攻撃を全てくらうも、女郎蜘蛛はすぐに体勢を立て直し、追撃の隙は作らなかった。


「どうです?糸も無いのに私の操り人形のように動いていた気分は?」


「まるで他人の頭のなかを操る糸で動かされている気分で気持ち悪いのぉ」


「はぁ、シルクも私がこの前教えた誘導術をさっそくこんな場面で使うなんてかなりの賭けだと思ったけど、AI相手でも使えるなんて上手くやったね」


「ほぅ、そちがこの術をあやつに教えたのか。これはさらに面白くなるかもな」

女郎蜘蛛はそう言いながら蜘蛛の脚に変形している右腕に静かに力をためていた。

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