蜘蛛の巣の主
シルクはルーンの能力に驚いている2人をよそに、重要な質問をルーンにした。
「それじゃあ、ここのボスはどこにいるの?」
「う~ん、私の推測だと蜘蛛の巣形の中心、つまり真っ直ぐ行った先にいると思うよ」
「なるほど、たしかに確率的に言ってそこが一番ありそうな場所だな」
「で、でもそれって私たちが何も考えずに真っ直ぐ進んでても着いてたってことだよね…」
リリスのこの水を差す一言に場は一瞬の沈黙があったもののすぐにシルクが口火を切った。
「ま、まぁ何も分からずただ進むよりも全然良かったんじゃないの?」
「そ、そうだぞリリス。大きなことが1つ分かったからかなりの収穫だ。それよりさっさと先に進もうぜ」
チェインはこの空気に耐えられなかったのか早く進もうと促し、他の3人も拒否することなど無く、さっさと前に進むことにした。
「ここだよな多分、大きな蜘蛛の巣が目の前の道を塞いでるし」
「うんそうですね。当たりっぽいですね」
4人が真っ直ぐ進んで十数分、何度か分かれ道はあったがそれでも真っ直ぐ進むと前方が蜘蛛の巣で塞がっていた。
「じゃあ、シルク焼き切って」
「別にリリスに言われなくてもやりますよ!【ファイヤーボール】」
「ありがとうシルク、じゃあ進もうか」
シルクが焼き切った蜘蛛の巣の火が消えるのを確認し、ルーンを先頭に4人は真っ直ぐ進むと、そこは大きなドーム状の洞窟空間となっていた。
「ここにボスがいるはずだけど…」
「あっ、ルーンあれ!」
「女の人…?なんでこんなところに…」
シルクが指さしたのは中央にポツンとある岩の上に座っている妖艶な着物の女性だった。
「そちたち、待ちわびていたぞ。妾の巣にかかった哀れな者たちよ」
「あ、あなたは…」
「妾の名は女郎蜘蛛この地に長らく住む者だ」
「なるほど…女郎蜘蛛か。(ねぇ、ルーン女郎蜘蛛ってなんだっけ?妖怪だった気がするんだけど)」
シルクは分かっている風に装っていたが後半小さな声でルーンに聞いた。
「そうだね。まぁ、ざっくり言うと美しい女に化ける蜘蛛の妖怪だよ。たしか同じ名前の本物の蜘蛛もいた気がするけど多分こっちは妖怪の方だよ」
「ありがとうルーン、それでこれって戦闘になるの?」
「どうだろう?こっちにある程度っていうか食べる気満々レベルの敵意があるのはたしかだね」
「そちたち、何を話しておる?妾も交ぜてくれんか」
ルーンたちが話しているうちに女郎蜘蛛は2人の後ろに回り込み手を蜘蛛の脚のようなものに変形させ毒突きしてきた。
「危ない!私たちの話に交ざりたいなら襲ってこないでもらえますか」
「ん?確かに妾は話に交ぜてくれとは言ったがなにもここでとは言っておらん。妾の腹のなかで話せばよいだろ!」
そう言うと女郎蜘蛛はルーンの脚を狙い自身の変形させた腕で再度突いてきた。




