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蜘蛛の巣の迷路

「ルーン?もしかして当てずっぽう?」


「いいや、当てずっぽうとかそういうんじゃなくて確認したいことがあって…」

ルーンはいたって真面目に考えている様子で、決してふざけているようには見えなかった。


「う~ん、ルーンに何か考えがあるなら良いんだけど…リリスとチェインさんは…?」


「俺はここに関しては全くわからないからな。何かつかみかけてるなら確めたら良いんじゃない?幸いここのマップはモンスターの出ないタイプのマップらしいし」


「私も賛成、ルーンさ…ルーンは結構頭が良いのは分かってた。一生迷うなら案に乗っかるしかない」

全員がルーンの確めたいことに賛成し、ルーンが最初に言った左に進むことになった。


「ルーン、それで確めたいことってなんなの?」


「シルク、私の得意なことって何かわかる?」


「それっていやみ?まぁ、色々あるだろうし…運動?勉強?それとも…」


「暗記力だよ。シルクの言った2つに他のことも得意って言えば得意だけど、暗記力以上ではないんだよなぁ」

ルーンが今の状況と全く関係のないようなことを自慢気に話しているうちにまた、3方向の分かれ道が現れた。


「また、分かれ道だけど…」


「う~ん、なんかこう…道が時計回りに歪んでる?曲がってる…って感じ?」

リリスの言う通り道が時計回りに少し歪んでおり、先ほどまでの場所ではないことを確認できた。


「うん、やっぱり!このマップの大体の全体図がわかったよ。そして、ボスがいると思う場所も」


「えっ!本当なのかルーン!」


「はい、今から地面に描くんで見てください」

ルーンはそう言うとそこら辺に落ちていた石で地面に蜘蛛の巣のようなものを描いた。


「これって、蜘蛛の巣だよね」


「うん、そうだよ。ほら、まず私たちが蜘蛛の巣の形をした洞窟に入ったら分かれ道はどうなる?」


「分かれ道は中心を除けば全部3つ…」


「じゃあリリス、この蜘蛛の巣を真っ直ぐ進むのと左に曲がったとき、正面からみた分かれ道の形はどうなる?」


「えっ、えっと…正面から見たら真っ直ぐなら前、右前、左前、そこから左に曲がるなら…っ!それが時計回りに歪みます!つまり、今の状況と同じ…」

ルーンの言いたいことが全員に伝わると3人は一斉にルーンの顔を見た。


「私の暗記力いや、映像記憶能力を応用した地図形成マッピングの効果だよ。シルクはもう知ってるはずだけど」


「えっ、映像記憶能力ってたしか1度見たものを記憶して忘れないって特異体質だよね」

ルーンは映像記憶能力といった記憶を写真のように脳裏に浮かべることができる才能を先天的に持っており、これによってルーンの勉強効率などはかなり高いものになっていた。


「そうだよ。私はリアルで映像記憶能力を持ってるからこっちの世界でも使えるんだよね。それに予想も含めて蜘蛛の巣ってのがわかったんだ」


「それってスゴいレベルじゃないな…ってことは、もしかして俺らとの戦闘とかおぼえてるんじゃ…」


「まぁ、そうですね。それも簡単に思い出せますよ」

ルーンのこの発言にチェインはルーンの目の前で切り札になるようなものを晒すのはまずいと感じた。

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