同じ光景
決心した4人はとりあえず先に進もうと暗がりに続く一本道を歩いていた。
「はぁ、リリスのせいでこうなったけどレベル100以上のボスが相手って私たち勝てるの?」
「私のせいで悪かったわね。でも、安心しなさい。私とチェインのレベルは100を越えてるから」
リリスはそう胸をはって言っていたがどんな攻撃をしてくるのかましてや姿形もわからない相手となるといくらかのレベル差有利も有るようで無いものだった。
「まぁ、ボスのことはひとまず置いておくとしてここって雑魚…いや、ダンジョンのレベルが上がった今、雑魚も雑魚じゃないけど…モンスターはいるのかな?」
「さぁな。ボスのレベルが100以上なら野良モンスターは90以上は確定。それより心配なのはそのなかに亜種がいたらレベルは180~200程度、亜種はAIも賢いから正直俺らだと逃げるしかできないな」
「うぅ、なんか嫌な思い出がよみがえってくる」
「たしかに状況はあの時とほとんど同じだね。違うところを強いて言うなら2人が4人ってことくらい?」
ルーンとシルクの脳裏に浮かんだのはかつて2層に来てすぐの2人が溶岩竜と戦ったときのことだった。
「おっ、分かれ道だ。右前、左前、真ん中、どれかわかる人は…いないか。あっちなら真ん中一択だけど…」
「とりあえず、真ん中にしてみましょう。正直、これと言ったヒントも手がかりも無いので」
ルーンの意見に特に異議を唱える者がいなかったため、始めは真ん中を行くことにした。そして、分かれ道から数分歩くとまた同じような分かれ道が出てきた。
「どうするシルク?ここも真ん中にするの?」
「ルーンに聞くのが怖いからって私に判断を委ねないでよ。…まぁ、もう一度真ん中に行ってみる?」
シルクの意見に全員が頷き、意思の疎通がとれていることを確認すると4人は真ん中の道に進んだ。
そして、4人は何度も何度も同じような分かれ道にあい、その全てで真ん中を選び、10回目の分かれ道である可能性が全員の頭をよぎった。
「みんな、俺嫌な可能性を考えちゃったんだけど…」
「私もです…。もしかして私たち同じところをぐるぐる戻ってきてるだけなんじゃないかってことですよね?」
「そうだよね。って、いうか絶対そうだよね」
「私も同じこと思ってたよ。もぉ、何してくれてるのチェイン、シルク!」
3人がそう考えをめぐらせ責任転換しているなか、ルーンただ1人があることを考えていた。
「あの、私少し考えたんですけど…」
「ひぃぃ、私ルーンのことは何にも言ってないから。責めたりしてないから!」
「はぁ、別にリリスを責めようって訳じゃないよ。ただ、左の道に行ってみないかって提案するだけ」
「左?ルーン、何かわかったの?」
「ううん、別に。なんなら右でもいいけど」
ルーンのなんの根拠もない当てずっぽうにも思える提案にシルクは少し疑問を感じた。




