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運営とコイン事情

多くのプレイヤーが高レアリティのコインを求め、様々な場所でモンスターを倒しているのを運営サイドは特に何の心配も無く見守っていた。


「やっぱりプレイヤー間ではあんな考えには至らないよなぁ」


「それにしても、絹塚さんも意外なところ突いてきたよ。実際、今のところ上位2種は誰も手に入れてない」


「あぁ、どのプレイヤーにも手に入れる方法がありながら誰もやらなそうな条件だもんな」

ゲーム内の様子を随時映し出すモニタールームでは絹塚の案であるプラチナコイン以上の条件は誰もクリアできないと余裕をかましている社員が多かったが、絹塚直属の部下である森田はなんのことかさっぱりであった。


「あのぉ、なんで皆さんそんなに余裕なんですか?」


「なんだ森田、お前知らないのか?まぁ、教えてもいいがなんで絹塚さんの近くにいるお前が知らないんだ?」


「実はその日風邪で寝込んでしまって会社を休んだんですよ。僕、結構季節の変わり目に弱いんで」


「なるほど…でも、お前の後ろにいる絹塚さんの方がこれに関してはわかってるから聞くならそうした方がいいぞ」

森田は先輩にそう言われ後ろを振り向くとそこには書類を持った絹塚が立っていた。


「はい、森田これ次のイベントの資料になるから来週の会議までに目を通しておいて。あと、俺に用があるのか?」


「はい、あの…絹塚さんの案であるプラチナコイン以上の条件っていうのはなんですか?」


「あぁ、あれか。簡単な条件だ。違うクランに所属しているプレイヤー8人のパーティーでそのパーティーの平均レベル以上のボスを撃破で低確率でドロップって感じだ」


「えっ、そんな簡単なものなんですか!」

森田は絹塚の案がもっとスゴいものだと思っていたので拍子抜けしてしまった。


「まぁ、条件を知ってたら簡単だけどそれが今のゲーム内の状況だと簡単じゃないんだよ」


「どういうことですか?」


「今は次の大型イベントに向けて準備してるクランが多く自分たちの情報漏洩を避けるためにプレイヤーたちは他のクランとの接触はできるだけしたくないはずだ。同盟を結ぶクラン1つ2つとパーティーを組むことは簡単だが、7つのクランとなるとかなり辛いだろう」


「た、たしかに…言われてみればそうですね」

森田は絹塚の考えに納得し、森田のなかで絹塚の株がさらに上がった。


「あっ、でも別にそんなまどろっこしいことしなくても良いんじゃないですか?僕たちの利益が消えるわけでも損害を被る訳でも無いのに…」


「まぁ、その分プラチナコインとダイヤモンドコインは良い報酬を用意してるから。それに難しいゲームの方が面白いし、燃えるだろ」


「そういうものなんでしょうか…」

森田は内心思っていたことをモニターに映るプレイヤーを見ながら呟いた。

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