満月の夜
ルーンが扉を開けると、昨日も見た空間が広がっていてもちろん大きな狼の姿はなかった。しかし、ボス部屋に入ると大きな遠吠えが聞こえ、大きな狼とシャドウウルフが2匹現れた。
「よし、まずは【気配遮断】」
シルクは本屋で手にいれた【隠密Ⅰ】があると使える5秒間自信のレベルより低いモンスターに狙われなくなるスキルを使い狼たちのヘイトをなくした。
「狼にはバレてない【ダークボール】【ダークボール】」
シルクはバレてないことを確認し、シャドウウルフにギリギリまで近づき、外さないように【ダークボール】を放った。
「とりあえずシャドウウルフ2匹たおしたけど…【気配遮断】の効果は切れちゃったか」
【気配遮断】の効果が切れるとボスの狼はルーンに攻撃を仕掛けてきた。ルーンはその攻撃をギリギリで避けると狼としっかり距離をとった。
「うわっさすがに麻痺無しだと倒すのは難しいか」
昨日はエイルのお陰で楽に倒せていたが、推奨レベルの2レベル上のルーンでさえソロでの攻略は困難であった。
「でも…とりあえず突っ込むしかないよね」
そう言ってルーンは狼の巨体に全速力で突っ込んでいき足に一閃したが、今のルーンの攻撃ではHPの1割もけずれなかった。
「これは結構ヤバイかな。ってあっぶない」
「一撃でこっちはやられるのに容赦ないなぁ」
その言葉のあとルーンはすぐに体勢を立て直し、反撃の構えから一気に勝負を仕掛けた。
「【気配遮断】【ダブルスラッシュ】」
ルーンを見失った狼の懐に入りさっき手に入った【ダブルスラッシュ】で攻撃した。
「【ダブルスラッシュ】【ダブルスラッシュ】」
【気配遮断】の効果時間の5秒の内にルーンは出来るだけの攻撃を狼に打ち込んだ。
「よし、これならまた同じ作戦でいける」
「【スラッシュ】【スラッシュ】」
ルーンは【気配遮断】の効果時間を気にして昨日もやった作戦で狼のバランスを崩した。
「やばっ、シャドウウルフでてきちゃったじゃん」
作戦はうまくいったもののタイミング悪くシャドウウルフの増援がきてしまった。
「【ダークボール】【ダークボール】【ダークボール】」
ルーンは3発魔法を放つが当たったのは一発のみで残り2匹はまだ生きていた。
「【ダークボール】【ダークボ…MP切れか。うぐっ…」
ギリギリまで引き付けて放ったルーンの魔法で1匹倒すことができたがMP切れでもう1匹の攻撃は受けてしまった。
「ヤバイ、ヤバイ、一旦退避」
そう言ってルーンはシャドウウルフとボス狼から距離をとり、MPポーションを使い、自分の残り少ないHPを【ヒール】で回復した。
「【ダークボール】よし、いけた」
回復しているルーンに向かってきたシャドウウルフをギリギリまで引き付けて今度はしっかり近距離で魔法を打ちこんでシャドウウルフを倒した。
「あとはボスだけだけど…【気配遮断】も、もう使えないか」
【気配遮断】は1日3回までしか使えず、ルーンは性能を試すためにボス戦までに1回つかっていたため、もうこの日はつかえなかった。
「うわっ、おっと…よっと、狼…やっぱり早い、っと」
ルーンは狼の攻撃を右に左に避けつつ、隙を伺っているがボスの巨体に徐々に端に追い詰められていった。
「やるしかないか…【加速】」
「よし、裏とれた。【ダブルスラッシュ】」
ルーンはここまで隠していた【加速】でAGIを強化して狼の隙をつき、裏をとると【ダブルスラッシュ】で狼にダメージを与えた。
「あと4割…削りきれるかな…」
ルーンはヒットアンドウェイで狼の攻撃範囲外にでて、これからの作戦を考えていたときピロンと、頭のなかに電子音が響いた。
「こんなときに何?」
確認してみると、ルーンからのメッセージと朝見たような紫色の本が送られてきた。
「これって…シルクナイスタイミング、あとでお礼言わないと」
そう言ってルーンはアイテムボックスから紫色の本を出し、使うを選択するとルーンが一瞬紫色に光った。
「よし、これで【ゴーストカッター】」
ルーンが短剣で空を斬ると、斬撃波がでてそのままボスの狼に当たった。
「結構ダメージ与えられてるし、これならいける。【ゴーストカッター】」
ルーンに狼は向かってきているがルーンは距離をとりつつ、【ゴーストカッター】で安全圏からちまちま削っていった。
「よし、これで最後っ【ゴーストカッター】」
ルーンが最後に放った【ゴーストカッター】で狼は光りとなって消えてしまった。
「ふぅーやっと倒せた」
ルーンが疲れて大の字になってボス部屋のど真ん中で倒れていると、吹き抜けになっている天井をみるとキレイな満月が輝いていた。
「キレイだなぁー。シルクにも見せたかったけど…あっそうだシルクに写真でも送ってあげるか」
そう言って、ルーンは写真機能を使い満月の写真を撮るとシルクに送った。
それから数十分ルーンは月を見てからダンジョンを出て、精神的に疲れていたためログアウトした。




