入会試験の最後
「あー、俺まったくダメだった」
「あぁ、僕も数がいればなんとかなるって思ったけどフィアにまたやられるなんてね」
「ボクなんて先輩相手に結局10秒ももたなかったんだからシュウとエイルさんはよくやったと思うよ」
「すみません。私の作戦に無理があったせいで…」
ルーンたち4人は四方に散らばり、フィアの雨のように降る氷弾を避けたり弾いたりしていたが結局その後、フィアに一撃をくわえられることができずに負けてしまった。
「いや、ルーンちゃんの作戦が悪かったわけじゃないよ。フィアにあんな攻撃されたら助かる方法なんて残ってなかっただろうし」
「そうだぜリーダー。魔法を吸収できるシルクでさえ2発でダメだったんだ。アレはものが違ったってことだよ」
「ざんね~ん、アレは魔法であって魔法じゃない攻撃だったんだよ」
ルーンたちがそんな話をしているとフィアが決闘のフィールドから戻ってきた。
「ふ、フィアさん!なんでここに…それと魔法じゃない魔法攻撃っていったい…」
「なんでここにいるのかは簡単。今日から私はこのクラン【犯罪者の夜】の一員になるから。それとシルクちゃんが不思議がっていることは意外と単純だよ」
「単純…あっ、シルク先輩!シルク先輩が防げるのって直前に自分が使った魔法の属性の魔法によるダメージだけでしたよね。ってことはつまり、あの氷弾自体は魔法じゃなかったってことですか?」
「うん、そこの大鎌の子が考えてることが大体当たりだよ。ちょっと伝わりづらかったから天才のルーンちゃんはもう全てわかっていただろうし私の代わりに説明してもらおうかな」
フィアにそう言われルーンは机につっぷした状態から起き上がりみんなの顔が見えるように立ち上がった。
「要するにこうです。フィアさんが今回使った魔法は【ファイヤーボール】のような魔法を直接ぶつけるものではなく、周りにあった氷に魔法を使い、それを相手にぶつけるという間接的な魔法だったということですよね?」
「ど、どういうこと?」
「つまり、シルクは【ファイヤーボール】はぶつけられても問題ないけど石をぶつけられたら怪我をするってこと」
「なるほど…このゲームは落下ダメージはもちろん壁への衝突や爆風や投石でもダメージもあってそれを私は防げないからダメージをくらった訳か」
「まぁ、そういうことだね」
シルクのローブスキルが発動しなかった理由もわかり、シュウは少し思うことがあった。
「それよりフィアさん、なんかさっきと雰囲気が違くないか?なんというかさっきまであった悪どい雰囲気が無くなったっていうか…」
「あぁ、それは先輩の演技だよ」
「え、演技ってどうしてそんなこと…」
「いや、先輩はなにかと悪役に徹したいって感じのタイプらしくてよくこんなことしてるんですよ」
アニのこの一言に他のクランメンバーは唖然とした表情をしていた。
「ま、まぁフィアもこのクランに入会したことだし、パーティーの続きでもしようか」
「「「「「「賛成!」」」」」」
エイルの一言で場の空気が一気に変わり、ワイワイとした雰囲気となり、みんなで食事をしていた。そして、食事が終わりクラン結成パーティーをお開きになりみんなポツポツとログアウトし始めた。
「ルーン、お休み。明日、学校でね」
「うん、シルクもお休み」
そんな感じでシルクがログアウトをしたタイミングを見計らってかフィアがルーンに話しかけた。
「ルーンちゃん、ありがとうね。私をこのクランに入れてくれて」
「いいえ、フィアさんみたいな強い人が入ってくれるなんてこっちの方がありがたいですよ」
「じゃあ、私も今日はもうログアウトするかな。じゃあ、また今度ね。奈月ちゃん」
「へ?なんで私の名前を…」
ルーンの質問が聞こえたのか聞こえなかったのかはさだかでは無いが、ルーンはフィアに本名を知られていることは確かであり、それについては頭のなかに疑問が残ったのは事実だった。
今日、この作品のタイトルを変えてみました。一応、旧タイトルも少しの間残しておく予定です。




