不死鳥の盾
クランメンバーにシュウが加わり、あらためて6人でクラン結成パーティーを行うことになった。
「わーすごい!これ、エイルさんが全部作ったんですか?」
「うん、まぁね。鍛冶系のスキルをとるときに料理系のスキルも一緒にとったんだよ。でも、まさか入会したのがシュウくんだけになるとは思ってなかったから量がすごいことになっちゃったけどね」
「安心してください。俺、結構食べられるんで」
「じゃあ、全員飲み物持って。乾杯の音頭は…クランリーダーのルーンちゃん頼むよ」
ルーンはエイルに突然ふられビクっとなったがその場に立ち上がり音頭をとることにした。
「え~、今日の入会試験でそこそこの数入れるつもりだったんですけど、色々あって入ってくれたのはシュウさんだけになっちゃいましたが、とりあえず今日が私たちの【犯罪者の夜】の始まりの日です。これから楽しんでいきましょう!乾杯!」
「「「「「乾杯!」」」」」
ルーンの乾杯の音頭が終わりみんなが話しなから食事し始め、ある程度のタイミングであらためて各々の自己紹介をすることとなった。
「じゃあ、やっぱりトップバッターはクランリーダーのルーンでしょ」
「私はいいよ。それより、シュウさん一応今日が初対面になるので始めに自己紹介お願いします」
ルーンはいちいち自分がトップバッターになるのは少し嫌になり、シュウに話をふってみた。
「わかった。えっと…もう名前は知ってると思いますがシュウといいます。片手剣と盾が主な武器で一応エイルさんに盾役としてスカウトしてもらいました。ちなみにリアルは現役の大学1年です。これからよろしくお願いします」
「シュウくんの盾はすごいよ。元々PSはしっかりあるタイプだったんだろうけど今までどこのクランも声をかけなかったのが不思議なくらいのつよさだった」
「へぇ、そんなに強かったのか。じゃあ、あとでボクにも見せてくれない?」
「もちろんいいですよ。っていうか、今でも全然良いですよ。ほらこれです」
シュウはそう言うとアニや他のクランメンバーに盾の性能を見せた。
【不死鳥の炎盾】
【不死鳥の炎】
【VIT+40】
【HP+100】
【MP+80】
【不死鳥の炎】
自身のHPが0になったとき、代わりに毎秒MP3を消費し、そして全ての攻撃をHPの代わりにMPで受けることによってゲームオーバーにならない。
「な、なんですかこれ…基礎ステータスの上昇も結構高いですけどこの【不死鳥の炎】ってスキル…」
「まぁ、要するに俺にはHPバーが2本あるってことになる。だから、エイルさんにやったように【自爆】を使っても生き残って意表をつけるってことだよ」
シュウは自慢気に他のメンバーに言うとみんなも納得したような顔をしていた。
「まさに死んでも死なない盾ってことですか…。これは1%を1人引き当てましたね」
「アヤメ、1人じゃなくて2人でしょ。さっき、私のリア友の方に連絡がついた。今から本当の最後の1人の入会試験をするからね」
「えっ…どういうこと?」
「エイルさんも会ってみれば分かりますよ。わざわざうちのクランに普通のプレイヤーとして入会試験を受けようとした物好きなアニさんのリア友さんの正体が」
ルーンのふくみをもたせたセリフが言い終わると同時のタイミングでクランハウスのドアが外側から開かれた。




