クラン入会試験5
シュウが攻撃をしかけるためにエイルに接近するとエイルはバックステップをしながら弓をひいた。
「【フレイムショット】【ソニックショット】」
「これくらいなんてことないですよ!」
シュウはなんてことなく左手に持っている盾でエイルの矢をはじき、自分の攻撃範囲まで距離をつめられた。
「まずは一撃!【火炎斬り】」
「くっ…結構やるね。ぎりぎりだったよ」
エイルはシュウの攻撃をスレスレで躱すともう一度距離をとりつつ矢を放った。
「【ピアースショット】」
「これは…!ぐっ…防御貫通の攻撃か」
「悪いけどこっちも対策してないわけじゃないし、疲れてるからそろそろ終わらせるよ!」
エイルはそう言うとシュウに隙をつかれないように距離をとり、強く弓の弦をひいた。
「【矢の雨】【錬金術師】【ピアースショット】」
エイルが放った雨のような矢は全て防御貫通の能力が付与されていて、防御特化のシュウのようなプレイヤーにとっては天敵とも言えるものだった。
(アレをしかけるなら今しかない!)
「【自爆】」
シュウはエイルの矢がとどく前に自身のHP0にして大爆発を起こし、爆風でエイルの放った矢をエイルもろともふき飛ばしエイルはフィールドの壁に叩きつけられた。
「ぐはっ…!」
(相討ち狙いだったのか…。でも、僕のHPはまだ半分近く残ってる…なっ!)
エイルがそう思った瞬間、まきあげられた砂けむりのなかからHPが0になったはずのシュウがいた。
「これで終わりだ!【インフェルノスラッシュ】」
『タイムアウト!ゲームセット!』
シュウが剣を振ろうとした瞬間、制限時間である1分が経過しシュウの攻撃がエイルにとどくことはなかった。
「あーあ、必死の初見殺しの奇襲もダメだったか。しょうがない、他のクランをあたるか」
「ちょっと待ってシュウくん、君はなんでHPが0になっても生きてたの?踏ん張り系のスキルとか一度死んでも生き返るみたいな能力じゃないっぽいけど…」
「さすがに俺でも赤の他人に種あかしするほどバカじゃないですよ。でも、同じクランの仲間になら教えてあげても全然かまわないですけど」
シュウはエイルを試すようにふくみをもたせて言うと、エイルは驚いた顔をした。
「そんなことで良いなら僕からルーンちゃんに言っておくよ。死んでも死なない盾役が仲間になるって」
「え、エイルさん今の爆発なんだったんですか?すごい音でしたけど…」
「おっ、ちょうどいいや。ルーンちゃん、このシュウくんクランに入れてもいいかな?実力は僕が保証する。しかも、盾役の素質があるから」
「今の爆発に最後までエイルさんがしとめられないくらいの耐久力なら私も拒否しません。シュウさん、ようこそ私たちのクラン【犯罪者の夜】に」
こうしてルーンのクランにシュウという盾役が加わった。




