クラン入会試験3
ルーンは担当したプレイヤー全員が辞退したため、他の2人を見に行くことにした。
「あれ?ルーンもう試験官役は終わっちゃったの?」
「うん、なんかチャラチャラしてムカつくプレイヤーが1人いたからその人をさらし首にして少し脅したらみんな辞退しちゃったんだよね」
「えっ…ルーンクランメンバーを発掘するために試験開いたんだよね?脅したって…」
「まぁ、あれくらいの脅しダメだったら脅されて情報漏洩とかの可能性が高いし、戦力になるかならないか以前に完全にお荷物になるじゃん」
(確かにルーンの言い分はごもっともだけど…)
シルクはルーンに対して若干の距離をとると共に納得している自分もいた。
「それで、アニさんの調子はどうなの?」
「元々アニは好戦的なタイプのプレイヤーじゃないけど、まぁ現状トップ9の力は伊達じゃないって感じだよ」
シルクの言う通りフィールドで闘っているアニは明らかに敵を圧倒していた。
「おっ、ルーンもう終わったの?ボクはまだ1割くらいしか倒せてないよ。それにしても、あまり手応えのある相手がいないんだよねぇ」
「アニさん集中してください。一応戦うだけじゃなくて良さそうならその人のこと覚えてくださいよ」
「わかったよ。まぁ、マークするプレイヤーはシルクに任せてるから問題ないけど」
「オッケーわかった。じゃあ、私はエイルさんとアヤメのところに行くからしっかりよろしくね」
ルーンはそう言い残してシルクとアニの前から消えると次はエイルとアヤメがいるフィールドに入った。
「あれ?ルーン先輩仕事早すぎませんか?こっちはおじさんがやっと1割倒したってところなのに」
「いや、実は…」
ルーンはシルクに話したことと同じことをアヤメにもう一度話した。
「いや先輩、私よりよっぽど死神みたいなことしてるじゃないですか!」
「うん、まぁでもたいしたプレイヤーがいなかったってすぐにわかったわけだしオッケーでしょ。それより、エイルさんの相手に良いプレイヤーいなかったの?」
「まぁ、おじさんもトッププレイヤーだし派手じゃないけど確実に倒していますよ。正直、これといって強いプレイヤーも良さそうなプレイヤーもいないですし」
「まぁ、数はあとでもなんとかなるだろうし、それよりも今はアヤメみたいな掘り出し物プレイヤーとか欲を言えばトップ12と同等レベルの実力をもったプレイヤーが来てくれることを祈るかな」
ルーンのこの発言にアヤメはため息をつき、あきれながら答えた。
「はぁ、そんな都合のいいプレイヤーなんてそう簡単に見つかりませんよ。そんなプレイヤーたちの99%はもう他のクランにスカウトされてますよ」
「でも、1%あるなら600人のなかに何人かその都合のいいプレイヤーもいるんじゃない」
「その内200人は先輩が脅しちゃいましたけど」
「確かにそうだね。でも、まだ残りは400人いるんだしそういうプレイヤーを見つけておいてね」
ルーンはそう言うとまたシルクたちの方を見に行く、という感じで2組の間を行ったり来たりして暇になってしまった時間を潰していた。




