暴食の悪魔5
「触手さ~ん、こっちだよ」
「リリス、あまり調子にのらないようにな。こっちも結構大変なんだからさ」
リリスは翼で飛び回り触手をひきつけながら隙をみて攻撃し、エイルは自身やリリスのまわりにいる触手をスキルを使いつつ倒していった。
「しっかし、倒してもきりがないな」
「まぁ、触手の再生は早いしランカー2人にこんなもの押しつけるくらいの作戦なんだから」
「ヒトリタリナイ。ウツワノナカマ、ケンジャノデシガドコニモイナイ」
「チッ、エイル気づかれたみたい。できるだけシルクに触手近づけないようにするよ」
悪魔の第2形態はなかば暴走ともとらえられる容姿をしているが知能は保ったままだった。
「これじゃあ出し惜しみしてもいられないね【ボムショット】」
「こっちも手数を増やしますか【中級悪魔召還】」
「クソッ、カナリヤッカイデメンドクサイナ。ナラバコレナラドウダ」
悪魔はそう言うと触手を更に増やし、エイルとリリスに攻撃をしかけた。
「うわっ、今度は増えた。これ本当にシルクのあてが外れたら終わりじゃん」
「大丈夫、僕たちがこの触手を防ぎきればあの場所から一歩も悪魔は動いてないからいける!」
「シブトイヤツラメ。ハヤクオレノショクリョウトナレ」
悪魔がそう言った瞬間、悪魔の視界の隅にシルクがうつりこんできた。
「これで終わりです【対呪のオーラ】」
「ぐはっ……!」
シルクが装備している首飾りのスキルを使うとそのオーラにあてられ悪魔の姿は始めの姿に戻り、触手も消えHPが残り3割になった。
「リリス、エイルさん今です!」
「シルク大当たりじゃん【魔殺しの槍】」
「リリスそれ借りるよ【錬金術師】【矢の雨】」
リリスが放った槍が一瞬消えたかと思うと悪魔の上から数えきれないほどの槍の雨が降ってきた。
「うわっ、エイルもエグいことするわー」
「まぁ、とどめは刺せるときに刺さないと」
もちろん悪魔は槍の雨にうたれやみおわる前に悪魔のHPは0になっていた。
「うぅ…まさか俺の暴食の呪いを解くことができるようになっていたとはな…」
「はい、呪いはもう祓われましたよ。悪魔、いや装備は元に戻ってもらいましょうか」
シルクがそう言うと悪魔は消え真っ白なロングローブとなり、クエストクリアの電子音が鳴った。
『シークレットクエスト【暴食の悪魔】をクリアしました。報酬として【暴食のローブ】を手に入れました』
「へぇ、この装備控えめに言ってぶっこわれだわ」
シルクがそう小さく呟いていたことをエイルもリリスも気づかなかった。




