暴食の悪魔1
シルクはクエストを受けたことを電子音で察すると、バックステップで悪魔から距離をとった。
「どうした?お前からこないなら俺からやってやるよ!【グランドファイア】」
「ぐっ…!」
シルクは悪魔の攻撃を引きつけて避けると、物陰に隠れるようにして敵の視界から消えた。
(とりあえず、一撃は避けられたけど多分あの悪魔は何か特性を持ってるはず…助っ人を呼べればだけどまずここがどこなのかが分からない以上呼べないか)
「おいおい、どこだよ。そんな逃げてばっかりじゃ、俺に食われるのを待ってるだけになるぞ」
(しょうがない…とりあえず、ここは…)
「【ファイアホーミング】」
シルクが放った魔法は死角からの攻撃に避けられなかった悪魔に当たった。
「よし、当たった…けど、HPが全く減ってない!」
「おぉ、うまかったぞ。お前の魔法は、この身体の魔法以上にな」
「ど、どういうこと?私の魔法を…食べたの…」
「あぁ、食べたぞ。お前の魔法なんて俺の食料にしかなってないからな」
悪魔はそう言いながらシルクの正面に立つと魔法をもう一度放つ態勢になった。
「くらえ!【ブラックアウト】」
「【テレポート】」
シルクは瞬時に判断して【テレポート】で攻撃を避けると箒を取り出した。
(あの悪魔の攻撃、私の魔法と違ってタイムラグがある。強力な魔法だからなのか悪魔だからなのかは知らないけどそれで避けられた…)
(箒で上から魔法攻撃をして魔法を食われなかったらいけるけど、私の場合魔法を無力化されたら物理攻撃はないから単体じゃ戦えないし…)
「こっちだよ。悪魔さん【トリプルランス】」
「ぐっ…!」
シルクの攻撃は悪魔に当たり、今度は悪魔のHPを少し削ることができた。
「よし、攻撃が入った!」
「箒か…やはり身体の仲間で間違いないようだな」
(ダメージが入ったからいいけどなんで魔法を食われなかった?タイミング?威力?何か条件があるはず…)
「じゃあ、今度は【アクアキャノン】」
悪魔の攻撃は箒に乗っているシルクの目の前を通り倉庫の天井に当たると雨のように水が降ってきた。
「外した?今ならまだいける!【ウォーターボール】」
「これはまたうまそうな魔法だな」
悪魔はそう言うとまたシルクの魔法を食らい、HPをほんの少し回復させた。
(魔法を食べる条件ってもしかして…)
「【ウォーターホーミング】」
「おぉ、またうまそうな魔法だ。こりゃお前には食ったあとにお礼を言わなきゃな。ごちそうさまって」
悪魔がそう言っている間にシルクは悪魔が食べる魔法の条件に見当がついた。




