シルクの食べ歩き
ルーンがリーダーのクラン【犯罪者の夜】が結成して一夜明け、シルクは朝早くから1人で一層にいた。
「やっと、時間ができたよ。ここまで色々なことがあってできなかったけど遂にこれができるよ…」
「ゲーム内のお店の料理を全部食べる計画!今日のためにゴールドも貯めたしさっさと始めますか」
シルクは現実でも大食いであり普段は太らないように自分で食べる量は制限しているがゲーム内でいくら食べても太らないことに気づき、いつかこれをやってみたいと思っていたのだった。
「ふぅ、とりあえずここのお店のメニューは全部食べたね。えっと、このお店はここっと」
シルクはそう言うと一層のマップを出して、このお店の場所にバツじるしをつけた。
「これで18店舗中5店舗制覇っと、2層ほど多くはないけどやっぱり1層もそこそこお店はあるなぁ」
「まぁ、まだお腹は全然空いてるし問題はないんだけど」
シルクはそう言いながら歩き、6軒目のお店に入ると赤髪の男が話しかけてきた。
「おい、そこの嬢ちゃんさっきから見てたがいい食いっぷりしてるじゃねぇか」
「は、はい…」
「そんな嬢ちゃんにこれ、あげるからいいように使ってよ。それじゃあね」
「えっ、なにこれ?あっ、ちょっと…」
シルクが赤髪の男を引き止めようとしたが男はシルクにカードを渡して去っていってしまった。
「今の何かのイベントだったのかな?あの男の人NPCっぽかったし」
「あっ、これ一層の食事できるお店で割り引きがきくカードじゃん。ラッキー」
シルクは貰ったカードを見ると今のシルクにぴったりのアイテムだったため、特に気にすること無く食事をすることにした。
そして時間は何時間も流れ、シルクはとうとう17店舗を制覇し、残り1店舗となった。
「あとはここで終わりなんだけど、ラスボスはかなり厄介なんだよなぁ」
「【魔女の食堂】ここのお店のメニューは味は悪くないんだけど見た目がどうしても…」
シルクからしたらここまできてもお腹の中に入るか入らないかは別に考えるほどのことでもないらしく、それ以上にここのお店の料理の見た目を気にしていた。
「うっ、やっぱりちょっと気持ち悪い…」
シルクはとりあえずあるもの全部注文したが、出てくるものは紫色のシチューや虫のようなもののフライといったいわゆるゲテモノ料理だった。
「と…とりあえず、ここで全部食べて何になるかはわかんないけど立てた目標はしっかり達成しないと」
「いただきます!」
シルクがラストスパートをかけているのかただ単にゲテモノ料理を目にいれたくないのか分からないが、これまでにないくらい早く完食した。
「も、もうこのお店にはこないようにしよう。美味しいけどなんか人間として大切なものが無くなりそう…」
シルクはそう言いながら会計を終え、店を出るとさっきシルクに割り引きカードをくれたNPCと思わしき赤髪の男が話しかけてきた。
「嬢ちゃん、ここら辺の店を制覇したのか…」
「は、はい。あっ、カードありがとうございます。お陰で結構ゴールドをおさえられました」
シルクは表面では笑顔でそう言っているがさっきからNPCの男が自分の胸元を見ているのを感じていたので早くこの場から立ち去りたいと思っていた。
「あぁ、俺はニトって言うんだがな。どうだ嬢ちゃん、俺の家で飯食っていかねぇか?」
「いや、今お腹いっぱいなんでけっこ…ぐふっ!」
シルクがニトの誘いを断ろうとしたとき、ニトの蹴りがシルクの腹部を直撃してシルクは気絶してしまった。
「ふぅ、あのババァの手先が俺の縄張りをうろついてると思ったら、なかなかの上玉じゃねぇか」
「こりゃ、俺が美味しくいただかないとね」
ニトはそう言ってシルクを担ぎ、裏通りにある倉庫に入っていった。




