地底の街とプレミアチケット
ルーンが開けた扉の先には1層2層同様に街のようなものがあったが、他の層とは決定的に違うことがあった。
「うわぁ、空が見えない…ってことはここは地下ってことですか?」
「そう、今回追加された3層は地底マップでもちろん新しいモンスターとかアイテムもあるらしいよ」
エイルの言うとおり洞窟の中のような場所に街が作られたようで、天井には光源となる光輝く綺麗な鉱石が太陽のかわりになるかのように配置されていた。
「へぇ、じゃあまず街の方の探索しておく?」
「いや、それよりクランをたちあげる方が優先かな。そのために3層に上がってきたんだし」
ルーンが今日中に3層に来たかった理由は早々にクランハウスを手に入れたかったからである。
「まぁ、僕も明日は3層のお店の準備しなくちゃだし、今日ぱぱっとクラン作りたかったから賛成」
「私も明日は日曜日なのになぜか学校でマラソン大会あるからログインしないつもりでしたし賛成です」
「みんなが賛成なら私も良いけどクランの設立ってどうするの?」
シルクの質問にルーンは運営からのメッセージを読みながら答えた。
「ほとんどのことはクランリーダーになる私がやるんだけど、まずはクランハウスを探そっか」
「く、クランハウスってそんなに大規模なクランにするつもりなの?ってか、そんな大金持ってるの?」
クランハウスの購入はレベルが一番低いものでさえ1億ゴールドもかかる大きな買い物だった。
「お金には心配いらないよ。だって、シルクたくさんお金持ってるじゃん」
「だ、ダメだよ。さすがにルーンでもお金は貸せないし、あげるなんてことはできないよ」
「分かってるって、さすがにシルクにお金を貸してもらうなんてことはしないから」
ルーンはそう言いながらアイテムボックスから1枚のチケットを取り出しちらつかせた。
「ルーンちゃん、それって…」
「えっ、おじさんあれなんかヤバイアイテムだったりするの?」
「やばいっていうか、なんていうか…ルーンちゃんもそれをこんなところで出すなんて警戒心無さすぎだよ」
エイルがあきれた表情で注意するとルーンはチケットをアイテムボックスにしまった。
「分かってますよ。でも、もちろんエイルさんにもこれは配られましたよね」
「あぁ、でも僕は今のところほしいものは無いからとりあえず保留かな」
「ルーン先輩、あれは結局なんだったんですか?何かのチケットということは分かりましたけど」
「う~ん、どう説明すればいいのかなぁ」
ルーンもアヤメの質問にどう答えていいのか分からずそう言うと、かわりにエイルが説明してくれた。
「さっきのはプレミアチケットって言ってランカー達に配布されるいわゆるチートアイテムで色々なものから1つだけ欲しい物が手に入るんだよ」
「色々な物って具体的には?」
「例をあげるなら僕のお店もあのプレミアチケットで買う権利を得たものだよ。シルクちゃんには前にベータ版の大会の報酬で貰った言ったけどね」
「な、なるほど…じゃあ強力な魔法とかスキルも簡単に1つ手に入るってことですか?」
「スキル、魔法、アイテム、お店、そして今回プレミアチケットにクランハウスも追加されてた」
エイルのこの言葉にシルクとアヤメはルーンの言いたいことが分かった。
「つまり、ルーンは…」
「うん、レベルマックスのクランハウスをこのプレミアチケットで手に入れる」
「そ、それってもったいなくないんですか。ルーン先輩」
「クランハウスをレベルマックスにするには100億ゴールドが必要らしいからね。この紙切れ1枚が100億ゴールドの価値ならもったいないとは思わないよ」
ルーンが覚悟を決めてこのチケットを使うことは他の3人も分かっていたため納得した。




