16本の道
とりあえずクラン結成の手順などには色々と手間がかかるというので口約束だけをして4人でさっそく第3層につながるダンジョンに行くことにした。
「さすがに実装初日だからダンジョン前の人多いな」
「まぁ、ダンジョンの中に入れば人の人数なんて関係ないでしょ、おじさん」
「それはいいとしてやっぱり私たちって目立つのかな」
「そりゃ、一応私とエイルさんはランカーだしシルクは箒、アヤメは大鎌なんて特殊なもの持ってるからね」
ルーンの言う通り第3層に初日から行く者はそれなりにFLOをプレーしているため有名なプレイヤーが多いこの集団に目がいかない訳はなかった。
それから10分ちょっとで4人はダンジョンにたどり着くことができ、ダンジョンに行くための魔方陣に乗り、ダンジョンの中に入った。
「ふぅ、今回のダンジョンは…何これ?」
「1、2、3…16本の道があるみたいですけど、謎を解いて進む感じですかね」
「そうなんじゃない?それにしても初めから16本ってかなり意地悪じゃないか」
「分かりましたよ。このダンジョンの答えが」
他の3人が苦戦しているなかルーンは簡単にこのダンジョンの意図を理解することができた。
「さすが天才。で、どういうことなのルーン?」
「話はあとにしよ。えっとあそこは…あっここだ。この道なので私に黙ってついてきてください」
ルーンはそう言うと指を指した方向にある道に向かって歩きだしてしまった。
「えっ、ちょっ、ルーンどういうことなの?」
「あっ、そうだ。もし、ここの先にボス部屋があってそこに入ったらシルクは【ウォーターボール】を使って」
「ルーンちゃんはどうしてそんな細かい指示まで出来るの?ここってまだ情報はほとんど出回ってないはずだけど…」
「勘ですよ勘、ここのダンジョンの構造を見たときにびびっときましたからね」
ルーンがエイルの質問をなんとなくはぐらかしていると、そこにボス部屋の扉があった。
「あっ、アヤメは大鎌じゃなくて投げナイフの方が良いと思うよ。近づきづらい相手だから」
「わ、分かりました。投げナイフにかえておきます」
アヤメが投げナイフに武器を交換したのを確認したルーンは早々にボス部屋の扉を開けた。
「ルーン、ここって…」
「そう、溶岩竜とのリベンジ戦になるよ」
扉を開けた先には以前見たことのあるマグマステージに大きな赤い竜がいた。




