意外な後輩
3人はそれぞれ目を合わせ驚くと、一旦落ち着いて近くの公園のベンチに座り話をすることにした。
「ふぅ、驚いたよ。まさかアヤメちゃんが私たちと同じ学園にいたなんて」
「ここでアヤメと呼ぶのはやめてください。私の名前は吉良要中等部二年です」
「へぇ、要ちゃんって言うのか…それならなんでアヤメって名前にしたの?」
「要って名前は男の子っぽいから名字の吉良をキラーって英語風にしてそれを日本語に戻すと、殺めるとかそういう意味になるのでアヤメにしました」
要がアヤメというプレイヤーネームにした由来について2人が感心して聞いていると要がむくれていた。
「あの、私だけ本名言うのってフェアじゃなくないですか。お2人の名前も聞かせてください」
「あぁ、ごめん。私は高等部一年の雪村奈月でそんでもってこっちが…」
「同じく高等部一年の絹塚真白だよ。要ちゃん」
こうして2人が要に自己紹介をすると要はやはりという顔をして2人のことをじっくり見た。
「やっぱり、そうでしたか。妙にお二人に似ているプレイヤーさんだなって会ったときから思ってたんです」
「へぇ、要は私たちのこと知ってたんだ」
「はい、し…真白さんはクラスの男子たちがかわいい先輩がいるってよく話題になってましたし、奈月さんは…」
要は奈月のことについて触れようとすると気まずい空気になるのを察したのか言葉につまった。
「いつもテストはほぼ満点で学年順位も常に1位、それにやること全てで優秀な成績を納めるし、真白さんとは違う意味でうちの学園の顔ですし…」
「いいよ、そんな気を使わなくても…知ってるんだよね。社会がどう私を見ているかなんて…だって『天涯孤独の天才少女』言われてるからさ」
「奈月…」
奈月は特に気にしているように見せなかったが真白は奈月のタピオカを持っている手が震えているのを見ていた。
「そ、そういえば要ちゃんはあのあとキラリスとは会ったの?」
「は、はい。キラリスはしっかり女王様になってましたよ。城の死神たちも全員復活はしていましたし近衛兵のラッシュっていう死神もキラリスの側近になっていました」
そんな感じの素っ気ないような会話を続けたあと、少ししてわかれることにした。
「それではありがとうございました。奈月さん、真白さん、いや奈月先輩、真白先輩」
「うん、じゃあね。要ちゃん」
「あっ、そうだ。奈月先輩明日が私たちの賭けの結果が分かる日ですけど、おじさんのお店に私はいるんで」
「そうだったね。要ちゃんとの賭けに関してはここまで私の方が圧倒的に不利だけど自分の勘を信じてみるよ」
2人の会話に真白は頭の中で疑問符を浮かべているとそれぞれ逆方向に歩き出し、真白は奈月のあとを追いかけ話の内容を聞き出そうとしたが奈月は結局話さなかった。




