放課後の偶然
第3層追加のこの日、丸々一日FLOがメンテナンスを行いログイン出来ないため真白は落ち込んでいた。
「はぁ、つまんないなぁ。せっかく昨日手に入れたスキル試したかったのに…」
「まぁまぁ、思えば私たちゲームばっかやってて何にも女子高生らしいことしてこなかったじゃん。今日は普通にどこか遊びに行こうよ」
「ふーん、奈月も同じように落ち込んでると思ってたんだけどなぁ。でも確かにこれじゃあせっかくの青春を潰すことになるし、それには賛成。で、どこに行く?」
「タピオカとか私飲んだこと無いから行ってみたい!」
奈月が食いぎみにこう言うと真白はあきれた顔をしてため息をついた。
「奈月覚えてないの?あの事件があったあと私と他の友だちが奈月を励ますために色々なところにつれ回してそのときに一緒にタピオカ飲んだじゃん」
「あれ?そうだっけ?まぁ、あのときのことは放心状態でほとんど何にも覚えてないんだよね。そのときのことも一緒に忘れてたんだよきっと」
奈月の他人事のような言い方に自分の身に起こったことを話していた。
「はぁ、まぁいいか。それくらい大変なことだったんだし。それじゃあ、もう一度タピオカ飲みに行こうか」
「じゃあ、放課後駅前にあるあのよく並んでるところ行ってみようよ。一度行ってみたいと思ってたんだ」
「あそこに前も連れて行ったんだけど…いいか。奈月が行きたいところについていくよ」
真白がそう言うと昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り、真白は自分の席に戻っていった。
放課後になり、奈月と真白は駅前のタピオカのお店に行ってみると幸い行列はできてなくすぐに買うことができた。
「早く買えてよかったね。ここ並ぶときは本当に並ぶらしいからラッキーだったよ…って、なに見てるの?」
「いや、ほらうちの中等部の服を着てるあの子」
奈月が指を指している先には中等部の制服を着ている三つ編みツインテールの小さな女の子だった。
「懐かしいね。私たちも何ヵ月か前まであの制服着て学校行ってたもんね」
「いや、そうじゃなくてあの子どっかで見たことがあるような感じがしてさ」
「そりゃあ、うちの中等部ならもすれ違って見たなんてことくらいあるでしょ」
「いや、そうじゃなくて最近どこかで…あっ!」
奈月は何かを思い出したかのように声をあげると走ってその中学生を追いかけた。
「な、奈月、いきなりどうしたの?」
「あの子が誰なのか分かったんだよ。たぶん真白いや、シルクなら分かるよ」
奈月はそう言うとその中学生の進路を塞ぐように前に立ちはだかった。
「な、なんですか。あなたたちは…えっ!」
「ほら真白、この子が誰だか分かる?」
「分かるもなにも…あっ!アヤメちゃんじゃん」
「も、もしかしてルーンさんとシルクさんですか?」
髪の色は違うし普段の装備とはかけ離れているデザインの制服で分かりづらかったがその中学生はアヤメだった。




