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奈月の夢

真っ黒なこの世界に私は今、1人でいる。


途方もなく遠いこの世界を歩き続けている。


「あっ、お父さん、お母さん!」

真っ黒な世界に突如として指し込められた一筋の光の下にはもう会えないはずのお父さんとお母さんがいた。


「どうして、お父さんもお母さんも死んじゃったはずじゃ…」


「何を言っているんだ奈月?」


「そうよ。寝ぼけてないでしっかり起きなさい」


(お父さんもお母さんも戻ってきたんだ。私が寂しがっていたから戻ってきたんだ)

奈月は涙をこぼしながら優しい表情をしている2人を噛み締めるかのように見ていた。


「でも、残念だなぁ。奈月が新しい高校で寮に入ってこの家に帰ってこれなくなるもんなぁ」


「えっ、どういうこと?」


「奈月、荷物は玄関に置いてあるから早く出発しなさい。初日から遅刻しちゃうわよ」


「いやだよ。私、お父さんとお母さんとずっと一緒に暮らしていたいよ」

奈月の言葉に2人はあきれた表情をしていた。


「奈月、人間というものはいつかは死んで必ず離ればなれになっちゃうものだよ」


「そうよ。例えこれから奈月と私たちが会うことが出来なくても奈月の中に私たちはいるから大丈夫」


「えっ、でも…」


「お前は見つけたんだろ。俺たちが居なくなって新しい目標いや、夢が」

奈月はふと我にかえり今の状況が現実でないことを理解することができた。


「それを叶えるために行ってこい。この先どんな真っ黒な世界が続いてもいつかは光が見えてくる」


「奈月が私たち家族を失ってできた夢〝新しい家族を作る〞ってことは努力すれば叶うわよ」


「分かった。でも、その前にお父さん、お母さん、私を抱き締めてくれる?」


「あぁ、それくらいのことはしてやらないと親として失格だからな」

そう言うと奈月の父と母は奈月のことを抱き締め、奈月はそれを噛み締めると2人の方を向かず真っ黒の世界の中を夢中に駆け出していった。






そしてそこで奈月の目は覚めた。


起き上がり鏡を見ると寝室のカーテンから漏れでている光が奈月の涙を照らしていた。

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