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懇願の死神と滅びの国

自爆とも思われたデストラウンドの爆発の衝撃はあったものの爆発自体に攻撃力がまったくなかった。


「い、今のは…」


「国王…いやデストラウンドはぼろぼろの自身の肉体に過剰な根源を取り入れたせいで自滅したんですよ」


「な、なるほど…じゃあ、私たちは勝ったってことでいいんだよね?」


「はい、デストラウンドが王座を退くどころかこの世からいなくなったので私の目的は達成できました。そういう意味では私たちの勝ちだと思います」

キラリスが抑揚の無い言葉で言うと、他の4人はこの上なく喜んでいた。


「キラリス、よかったね。家族の敵討ちが出来て」


「はい、それについては嬉しいはずなんですが素直に今は喜べないんです。私はこの敵討ちをゴールとしてここまでやってきました。しかし、分かっていても敵討ちをしたところで家族が戻ってこないんだって思ってしまって…」

キラリスはまるでゴールを見失ったようなランナーのように頭の中で何も考えられなくなっていた。


「そうだよ。キラリスの血が繋がった家族はもういないよ。生き返ることも戻ってくることもないよ」


「ちよっと、アヤメ…」


「でも、私はいるよ。ここまで一緒に戦ってきたパートナーの私が。キラリスとの目的が達成できたらもうこっちにはこないと思ったけどまたちょくちょく顔は出すから」


「は、はい…お嬢様…」

普段感情を表に出すタイプじゃないはずの2人が泣きながら抱き合っているとその空気を壊すかのようにアヤメの頭の中に電子音が鳴り響いた。


『プレイヤーアヤメの二つ名【PKP】はクラスチェンジされて【死神少女】になりました』


「ふふっ、キラリスに頼みたいことがあるんだけど」


「な、なんでしょうか?」


「キラリスがこの死神の国の女王になってくれないかな?もちろん私には決める権限とかはないけど」


「はい、分かりました。お嬢様の頼みとあればどんな手を使ってでもなってみせますよ死神の女王に」

キラリスがそう言ってアヤメの方を見て微笑むと今度はキラリスの身体が黒くて濃い霧に包まれた。


「うわっ、ど…どうしたのキラリス?」


「わ、分かりません。危険かもしれないんでお嬢様たちは離れてください」


「う、うん」

全員キラリスの言う通りキラリスから距離をとり、キラリスの様子をうかがっていると、またアヤメの頭の中に電子音が鳴り響いた。


『契約しているモンスター【死神:キラリス】のクラスチェンジができます。おこないますか?』


「キラリス、クラスチェンジできるみたいだけどどうする?キラリスが決めて」


「お嬢様、私は女王になるためならどんな手をつかってもなってみせますと言いました。私が拒否すると思いますか?」


「キラリスならそう言ってくれると信じてたよ」

アヤメはそう言うとためらいなく【おこなう】を選択した。その瞬間キラリスを包み込んでいた黒い霧がまるでキラリスに取り込まれるようにして消えてなくなった。


『契約しているモンスター【死神:キラリス】は【死神女王:キラリス】にクラスチェンジしました』

その電子音と同時に現れたキラリスの姿は本来の死神の姿ではなく人間の姿で紫がかったティアラやネックレスなどをつけており、華やかな姿にどことなくアヤメの装備の色合いに似たワンピースドレスで着飾っていた。


「き、綺麗…」


「どうやらもうお嬢様とのさっそく約束ははたせたようですね。これから死神たちを上手くまとめてみせます」


「こ、こんなのってありなの?」


「まぁ、ゲームだしそういうシナリオだったんだと思うけど…そんなこと考えるのは良くないよシルクちゃん」


「まぁ、これでアヤメの目標は達成できたんだし、シナリオだって何でもいいよ」

このあと倒してしまった死神の復活を確認して、全員でFLO内で祝勝会をおこなった。


『クエスト【懇願の死神と滅びの国】をクリアしました。クリア報酬はー』

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