こぼれ落ちた根源
デストラウンドを斬ったアヤメの大鎌とキラリスが分離し、2人のまわりに他の3人も駆け寄った。
「やったね、アヤメ、キラリス!遂に目的を果たせて」
「はい、これも皆さんとキラリスのお陰です」
「はぁはぁ、お嬢様…まだです。まだ、デストラウンドの計画は…」
さっきの技はキラリスの体力的消費が激しいのかキラリスはかなり息をあらかった。
「はっはっはっ、こんな人間や人間かぶれした死神に負けるくらいなら…」
デストラウンドは胴体の断面から大量の赤い血が流れているものの、意識はまだしっかり残っていた。
「私がいなくなる今…私の計画の核である…魔方陣なんて…なんの意味もない…なら、最後に…」
「お嬢様、皆様逃げてください…国王は…あの魔方陣の…魔力を…自身に…取り入れるつもりです…」
「アヤメ、デストラウンドの計画ってなんなの?」
「いや、私は知らないけどキラリスが逃げろって言ってるなら逃げるべきですよ。ごめん、キラリスちょっとの間だけ私の指輪に入ってて」
アヤメはそう言うとキラリスを指輪に戻し、言われるがまま全員が全力で逃げようとした。
「私の下に従わない者などいらない…私がいない世界などいらない…」
「これってもしかしてボスにありがちな第2形態に進化するみたいな感じじゃ…」
「今までの処刑によって…集めた死神の根源を…我魔力に…」
「間違いなく…そうだね…」
ルーンたちがうしろを振り返ると真っ二つになったはずのデストラウンドがもと通りの姿になっており、更に目を引くのはデストラウンドの大鎌が禍々しくなっていた。
「オマエラ、ヨクモヨクモヤッテクレタナ」
「アヤメ、あれなんかやばくない?なんかデストラウンド自体も自我が無くなっているような…」
「わ、分かりません。あれがなんなのか…」
「お、お嬢様…」
変化したデストラウンドに驚いている一同にキラリスは指輪から出てきて話し始めた。
「国王はただの感情だけで処刑していませんでした。国王は元々人間界に自身の配下である多くの死神を送り出し人間界を支配して死神の世界を拡大しようとしました」
「キラリス、そんな話をしている場合じゃないよ。デストラウンドがこっちに…」
「そのためには多くの死神の根源が必要になったそうです。だから処刑を繰り返していたんです。そしてその死神の根源を使った魔方陣を作ったそうです。完成したのかはさだかではありませんが」
「キラリス!避けて!」
キラリスは余裕を持ってデストラウンドを背にして話していたが自我を失ったデストラウンドはキラリスの首に向かって鎌を振り上げた。
「マズワ、オマエカラダ」
「そして国王は今、多くの死神の根源を取り込んで強くなりました。いえ、多くの死神の根源を取り込みすぎて強くなりすぎたと言っていいでしょうね」
デストラウンドの鎌はキラリスの首元数ミリで止まり、デストラウンドの身体は膨れ上がり、暴発してしまった。




