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国王の目指す国

アヤメが扉を開けると長く赤い豪華なカーペットの先にこれまた豪華な玉座に座っている今まで戦闘してきた死神より強いだろうと分かる見た目の死神が座っていた。


「ほぉ、やはり先ほどから近衛兵や他の兵士から連絡が無いからまさかとは思っていたが…」


「デストラウンド!お前はなんのために私の父を殺した。なんのために無罪の国民を殺している!」


「まぁ、そうあせるなキラリスよ。お前の父を殺したのは確かに残念だった…先代の我が父のころからつくしているあの男には引き続き私の側でつくしてもらいたかった」


「なら、なんでキラリスのお父さんを殺したんだ!」

アヤメは持っている大鎌を強く握り、今にもデストラウンドとびかかろうとしていた。


「待て、そこの人間の少女よ。私はこのキラリスと話がしたい。ここにいても構わないが話の邪魔をするのだけはやめてもらうと助かるんだが」


「キラリス、どうする?あいつの話を聞く?」


「はい、聞いてみます。父のことも聞けるかもしれませんし…ですが、いつ襲ってくるのか分からないので気だけは緩めないようにしてください」


「ほぉ、さすがここまで来た者たちだな。互いに余裕を持って話を出来るのは実に素晴らしいことだ」

デストラウンドは落ち着いた声でキラリスのことを表面上では称賛していた。


「それで話ってなんですか」


「まず、お前はなにかを勘違いしている。私がただ自分の気に入らないやつらを王の権限で処刑していると思っていたら大間違いだ私は私なりにこの国の未来のためを考えて起こした一種の改革だよ」


「改革ってどこの国で国民を処刑して行う改革があるんですか!」

キラリスの荒げた声にデストラウンドは冷たい目で一瞬反応し、話を続けた。


「お前は気づかないのか?今この国には多くの国民が住んでいる。しかし、その国民が多すぎるのだ。死神の寿命は他の種族に比べて長いからな」


「だから国民を間引いているなんて言いたいんですか!」


「それも1つあるがそれだけで国民や先代の側近を処刑するようなことはしないさ」

そう言うとデストラウンドは目線を少し下に落とし、話の続きをした。


「故にキラリスよ。お前は死神として人間の世界を支配するのには興味はないか?お前ほどの戦力があれば人間など簡単に殺せるだろう」


「そんなことに参加するわけないでしょう。私は人間の戦友たちを連れてここまで来たんです。裏切るなんてことはしないし、そんなことさせるわけにもいきません」


「ほぉ、やはりお前も父同様に同族を裏切り人間に媚びる者であったか…なら、ここで私の手で処刑する他ないな」


「今の私なら負けないです!お嬢様たちが私に力を貸してくれましたから!」

そう言うとキラリスは黒い霧を纏い、先ほど見た人間の姿でデストラウンドに斬りかかった。

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