消える影
時間はほんの少しだけ戻りルーンはアヤメに心配されているのを特になんとも受けとめずただひたすら攻撃を避けることに集中していた。
(アヤメの方は残り3体か…あっちは順調そうだけど私も半分受け持ってるんだしアレが手に入るまで油断しちゃだめだよね)
(ネットには書いてあったけどガセじゃないといいなぁ。まぁ、最悪他のみんなに手伝ってもらえばいいか)
ルーンはそんなことを考えながら近衛兵の大振りの鎌を攻撃もせずに避けていた。
「ルーンさん!こっちもうあと2体ですけど手伝いましょうか?」
「いや、今いいところだから手伝わなくていいよ。あとちょっとなんだよね」
「ルーンさん!敵にダメージ与えられてないのにあとちょっとってどういうことですか!」
「いや、そういうことじゃなくて…あっ!きた!見ててよスゴいのが出来るから」
ルーンがそう言った瞬間頭の中で電子音が何度も鳴り響き、アヤメの声など聞こえてなかった。
『スキル【身体さばき】を習得しました』
『スキル【身体さばき】が派生してスキル【ムーンサルト】を習得しました』
『スキル【身体さばき】と【影隠れ】が融合し、スキル【影透かし】を習得しました』
『スキル【影透かし】と【トリプルスラッシュ】が融合し、スキル【ファントムスラッシュ】を習得しました』
ルーンは1度に4つのスキルを入手したものの効果を見ている暇もないため一番攻撃に使えそうなものを使うことにした。
「まずは【ファントムスラッシュ】!」
ルーンが唱えるとアヤメの視界からルーンが消え、1体の近衛兵の背後をとり斬りつけ近衛兵を倒してしまった。
「えっ、今ルーンさんが近衛兵を一撃で倒しちゃった…」
「いや、今のは【暗殺者】っていう私の他のスキルが発動したからたまたま一撃で倒せただけだよ。それより、アヤメもそっちの攻撃避けないと殺られちゃうよ」
「分かってますよルーンさん、こんなの避けるまでもなく返り討ちにすればいいだけですよ【雷撃の大鎌】!」
アヤメは顔色1つ変えず振り返り大鎌を大鎌で受けとると、スキルの雷撃で近衛兵を感電状態にした。
「目的も達成したっぽいですしこっちの心配してないでルーンさんは残りの3体を倒してくださいよ」
「まぁ、そもそも私1人で近衛兵4体は倒せるとは思ってないからそっちも終わったら手伝ってよ」
「さっきと言ってることが真逆じゃないですか…」
「ん?なにか言った?」
「いえ、なにも」
アヤメはルーンにそう返すと感電状態の近衛兵の方を狙い、ルーンはルーンで近衛兵3体を相手に今度こそ本気で戦闘をするためにバックステップで距離をとった。




