見たことがあるような…
4人が黒いゲートをくぐるとそこにはアヤメが言う通り、町が広がり、民家があり、お店があり、大きなお城があるというどこか見たことがあるような景色が広がっていた。
「ここが…死神の国…」
「お嬢様、そして付き添いのお三方もこれを持っていただけると助かります」
「えっ、死神がしゃべった!」
「アヤメ、今話したのってキラリスだよね…」
3人が驚いているのをアヤメは不思議な顔で見ながらキラリスからアイテムを受け取っていた。
「キラリスは基本しゃべったりはしませんが、ここは死神の国なので話しているのかもしれません」
「それで、今アヤメが受け取ったのは?」
「どうやら私たちの外見を死神に見えるようにするアイテムっぽいですね。ここには死神しかいないから人間がいるとばか騒ぎになるでしょうから3人も貰ってください。持ってるだけで効果あるらしいですから」
「相変わらずの説明口調…でも、これは持ってないと危ないものだろうし貰いますか」
ルーンがそう言うとキラリスが3人それぞれの目の前に行き、アイテムを手渡した。
「で、私たちは結局ここでどうすれば良いの?」
「それに関してはお嬢様よりも私のほうがここには詳しいので私から説明させてもらいます」
「じゃあ、キラリスに説明は頼みます」
アヤメがそう言うとキラリスはこの町のマップの立体映像を出した。
「あれ?これって…」
「はい、死神の国の首都であるこの町はあなた達が二層と呼ぶ町と全く同じ構造になっています」
「どおりで見たことがあるような景色だったのか」
「でも、二層のマップと同じなら私たちはかなり覚えてるはずだし、案外楽かもね」
「でも、二層と同じってことならあの巨大マップを1から探索するってことですよ」
アヤメの鋭い指摘に楽勝ムードだった一同が少し渋い顔をし始めた。
「それでは次に今回の目的について説明します。現在、お城の前で公開処刑がされています。そして民衆のほとんどがそれに参加させられているため、これに乗じて城に潜入します」
「城に潜入するのってそんな簡単なことなのか?」
「もちろん簡単なことではありません。それに今は町を巡回している死神もいるため、公開処刑に行っていない私たちを怪しむことになるでしょう」
「じゃあ、その巡回している死神に見つからないようにしてお城に侵入すれば良いんですね」
ルーンは簡単に言っているがどのタイミングでどのルートを巡回しているのか分からない死神に見つからないように動くのは至難の技であった。
「城に侵入出来るルートは2つありますので2グループで動いた方が見つかったときのリスクや集団での動きやすさの面では良いかと思われますがどうしますか?」
「あっ、じゃあ私はルーンと一緒に行くからアヤメちゃんとエイルさん、あとキラリスでもう1つのルートをお願いしても良いかな?この方が全員動きやすいと思うし」
「僕はかまわないけどアヤメは?」
「私もそれで良いと思います。ルーンさんとシルクさんの連携が良いのは聞いてますし」
「では、ルーン様とシルク様にはルートを示したマップをお渡しします。お嬢様とエイル様は私がナビゲートしながら行きましょう」
キラリスはそう言うとルーンとシルクにマップを手渡し、合流地点を確認したあとそれぞれ出発していった。




