朝の本屋
奈月の朝は早く、両親がいなくなってからというもの朝ごはんやお昼の弁当、洗濯ものを干したりとやることがたくさんある。
しかし、今は春休みであるのにもかかわらずいつも通り早く起きすぎてしまって、手持ちぶさたになってしまった。
「あー早く起きすぎて何にもやることが無い」
そんな時ピロンと携帯が鳴り、確認するとFLOのSNSからの通知だった。
「えーと、細かいバグの修正と…おっモンスターの湧き率が上昇したのか。さすがにあのままだと批判が多かっただろうしなぁ」
そう思っていると今度は携帯の電話音が鳴り響き、確認すると真白からだった。
「奈月、今からFLOログインできる?モンスターの湧き率に調整はいったみたいだし」
「うんできるよ。私もそれ、ちょうど見てた」
「じゃあエイルさんのお店で集合しよう。行きたいところもあるし」
「えっ今日ってエイルさんいないんじゃなかったけ」
「2人が知っている場所なんて町の中であそこくらいだし、なかにはいらなければ大丈夫でしょ」
「OKわかった。じゃあ少し待ってて」
そう言って奈月は自室に行き、VRゴーグルを付けてゲームにログインをした。
「シルクーおはよう。待った?」
時間は少し経過し、2人は短時間で集合することができた。
「ううん。待ってないし、早く行こうよ」
「で、シルクはそんなにどこに行きたいの?」
「本屋だよ。ここからすぐだし行こう」
ルーンはシルクが本屋に行こうなんて言うことにおどろいた。シルクは勉強はできるが自主的に本を読んでいるところを長年の付き合いのルーンでさえみたことがない。
「シルクが本屋に行きたいなんて珍しいね」
「ルーン、ここはファンタジーなゲームのなかだよ。今から行くのはスキルが手にはいる本を売っている本屋だよ」
シルクが本屋に行く理由がシルクらしく、ルーンは納得することができた。
2人は5分くらい歩き、スキルが手にはいる本屋の前に来てた。
「シルク、本当にここであってるの?」
「うん。あってるはず…」
2人の目の前にはエイルの店のようなキレイな外観の店ではなく、今にも壊れそうな廃屋だった。
「と、とりあえず入ってみようか」
「うん。そうしよっか」
2人は廃屋のような外観の本屋にはいったが、なかは外観から想像の出来ないほどにキレイでたくさんの本が並んでいた。
「へぇーなかはしっかりキレイな感じなんだ」
「うん。間違ってなかったみたいだし、早速私はお目当てのもの買おうかな」
そう言ってシルクは店の奥に行くと、すぐに3冊の本を持ってきた。
「えっ、シルクは何を買ったの?」
「ええと、水属性の魔法と光属性の魔法と、あと回復魔法が使えるようになる本かな」
「そんなに買ってお金は大丈夫なの?」
ここにくるとやはりお金の問題である。現状2人の所持金は初期のままの3000Gずつしかもっていない。
「大丈夫だよ。だってこれ全部1000Gだから」
「いや、他にも買わなきゃいけないものあるでしょ、ここで全部使っていいの?」
「いいと思うよ。だって、エイルさんから武器や防具の他にもポーションも貰ってるし」
エイルが2人に渡したものはある程度充実していて、2人にはだいぶ金銭的に余裕があった。
「それよりもルーンも何か買った方が良いよ。私がいない時あのダンジョンをクリアするためには、魔法か物理判定の無い攻撃を覚えないといけないし」
「確かにそうだね。それじゃあなんかオススメはある?」
そう言ってルーンはシルクに良い本を持ってきて貰うことにした。そして数分後、シルクは何冊か本を持ってきた。
「とりあえず、ルーンは近接戦闘が基本だから魔法は基本1種類にした方が良いから魔法系を好きなもの選んで」
そう言われてルーンはシルクが持ってきた本を1冊ずつ確認していく。
「ねぇシルク、属性ってどれが有利とかある?」
「特にどれかが強いとかは無いけど相性はあるからその辺は理解した方が良いかな」
「それじゃあ、シルクはこれから他の属性の魔法は覚えるの?」
「いや、覚える気は無いよ。だって魔法は覚える属性が少ないほどその属性の魔法わ使う機会が多いから強くなるけど適応範囲は狭くなる。逆に多くの属性を覚えると適応範囲は広くなるけど魔法それぞれの強さはほどほどになる。だから魔法職はバランスをとってだいたい3か4属性を覚えるんだよ。」
シルクの長い説明を聞き、ルーンは闇属性の魔法を覚えることにした。
「何で闇属性にしたの?」
「だってシルクと一緒に戦ったとき、バランスが良いかなぁって思ったから」
「確かに光属性相手に有効打になるからいいとおもうし、いたら助かるよ」
そう言ってシルクはまた違う本を選びに行った。
ルーンのスキル選びも終わり2人は本屋を出てしゃべりながら話していた。
「ルーンはこれからモンスター狩りに行かない?昨日のこともあるしさぁ」
「ごめん、これから買い物に行かなきゃいけないからやっぱりお昼まで出来ないよ」
ルーンは1人で生活してるためある程度しっかりとした生活をするためには日常的に必要なことはリアルでやらなければならない。
「はぁやっぱりダメかぁ」
「まぁまぁ、お昼からはできるし、今日は夜までやろうとおもってるし」
「じゃあ、私は1人でエイルさんに教えてもらったトレントを狩ってるよ」
「わかった。ゲームにログインしたら連絡するから」
そう言ってルーンは現実世界に戻っていき、シルクはそれを見送った。




