衝撃の報告
ルーンは死神と戦闘を行わなかったため、シルクとエイルが待つエイルの店に着くまでに時間がかかった。
「ふぅ、やっと着いた」
「おっ、お帰りルーンちゃん」
「お帰り…って、なんでこんなに遅くなったの?ルーンが帰りが遅かったのってもしかして1人であのチート死神倒しちゃったの」
「そんな訳ないじゃん。まぁ、死に戻りせずに森から帰ってきたから遅くなったのは確かだけど」
ルーンのどっちつかずの反応に2人は少し首を傾げたがルーンはいたって冷静であった。
「私たちが思ってた以上にこの案件は変な方向にいっちゃってる気がするんだよね」
「どういうこと?単純に言えば超強力な死神にプレイヤーが全然敵わなかったって話じゃないの?」
「そう言えばそうなんですが本質がそこにはなかったって話です。それに2人がやられたのは死神じゃなくて1人のプレイヤーの攻撃ってこともそうですね」
「えっ、でも私たちは死神に認識された瞬間一気にHPが0になっちゃったし、それに他のプレイヤーがあの場所にいたとしたらどうして私たち2人が気づかなかったの?」
シルクの当然の反応とは反対にエイルは少し頭の中で考え、何かを閃いたようだった。
「つまりそのプレイヤーはあの森の中でルーンちゃんの【影隠れ】みたいなスキルもしくはアイテムを使って身を潜め、僕たちを一撃で倒したってことだよね」
「そうですね。それにその子みんながチート死神だって思ってる死神を使役かテイムしているようでした」
「でも、なんでPKなんてそのプレイヤーはしてたんだろう?私はともかくエイルさんを一撃となると相当なレベルだし、他のプレイヤーを倒す意味ってないですよね」
「そうだね。このゲームにはPKボーナスはあるけど自分よりレベルが低いプレイヤーを倒しても意味はないから…」
エイルの言うPKボーナスとはこのゲームの要素の1つでフィールドで、プレイヤーを倒すとそのプレイヤーが自分よりレベルが高い場合そのレベル差の分ゴールドが貰えるというものだが、レベルが自分より低い場合は何もないためわざわざPKを行う必要がないのだ。
「そういえば、その子もう目標は達成したからもう他のプレイヤーに迷惑はかけないって言ってたよ」
「目標か…そのプレイヤーってどんな感じなの?」
「リリスより身長は小さくて黒いフードをかぶってたんだけど紫髪の三つ編みで顔もかわいかったよ」
「えっ、そのプレイヤーの名前って聞いた?」
エイルは何か思いあたるふしでもあるのか食い入る様にルーンに聞いた。
「アヤメって名のってましたよ。でも、他で見つけても話しかけるなっていわれましたけど…」
「エイルさんがそんな興奮して聞くなんて珍しいですね。もしかしてロリコ…」
「違うよ。その子は多分前に2人に話した僕の姪っ子じゃなかなって思ったんだよ。っていうか間違えなく僕の探してた姪っ子だよ」
「確かに死神を連れてたし、エイルさんと音信不通になったのもアヤメさんが死神を倒したときからっていうのも何かつながりがあるかもしれませんね」
ルーンはアヤメがなぜPKをしているのかがどうしても引っかかっていたがなんとなく背景が見えた様に感じた。
「エイルさん、その…アヤメさんにここにきてほしいってメッセージを送ってもらえませんか」
「いや、でもアヤメは僕のメッセージを今まで返してないって前にも話したよね」
「はい、ですがアヤメさんは目標を達成したって言ってました。もしかしたらこのタイミングでならメッセージを返してくれるかもしれません」
「はぁ、確かに色々とややこしくなってるし安否確認と今回の件の真相が分かるなら送ってみようかな」
そう言うとエイルはすぐにアヤメにメッセージを送り、返信がくるのを待つことにした。




