作戦会議の結果
ルーンはシルクとエイルの2人が死神に気付かれた瞬間に倒されたのを近くの木の影に潜み見ていた。
(やっぱりいくらあの2人の最高火力でさえ一撃では倒せなかった。しかも、あの死神自然回復までしてる)
(でも、やっぱり不思議だよ。予備動作もエフェクトも無いまま一撃必殺なんてぶっ壊れすぎでしょ)
(とりあえず、ここから死神を観察して出来るだけ多く弱点になりそうなことを…)
「ふぅ、さっきの2人組でやっと目標の1000人にいけたし今日はここまでで良いかな」
ルーンが死神を観察しようとしていると死神がいる木の反対側から黒いフードを被った人影が現れた。
(な、何?声を聞くかぎり女の子っぽいけどなんで死神に認識されても死んでないの?)
「ふぅ、やっぱりキラルスにみんな目がいっちゃうよね。他のプレイヤーには申し訳ないけどこれが私たちの使命だからしょうがないはず…」
(身長はリリスより小さいしかわいい声だけどそれとは反対にかなり落ち着いた雰囲気がする…ってそれより死神を従えてるとなるとあの子がこの騒動の真相を知ってるのかな?)
ルーンが疑問を頭の中で解決しようとしながらその少女の一人言に耳をかたむけると衝撃的なことが聞こえてきた。
「それにしてもキラルスのことが噂になってるの知ってる?認識されただけで殺される死神だって。実際は私がプレイヤーの後ろをとって殺してるだけなのに」
(そういうことだったのか。でも、そのからくりが分かれば攻略は簡単。今ここであの子の不意を突く!)
「【シャドウカッター】【シャドウカッター】」
「なっ、まだいたの!【真空斬撃波】」
少女はルーンの攻撃に気づき、自身の2倍近くある大鎌を軽く振り【シャドウカッター】に攻撃を当てて相殺しようとした。
「残念、私の攻撃は相殺できないよ」
「うっ、ぐはっ…」
少女が相殺しようとした【シャドウカッター】はどんな障害物でもすり抜けることができ、それは他者の攻撃によるものでも同じことだった。
「よし、やれ…」
「ふぅ、私だけのステータスだったらやられてたけど、キラルスがいる間で良かったよ。それで、あなたはなんでいきなり私に攻撃を仕掛けてきたの?」
ルーンに当然のことを問いかけた少女は被っていたフードが取れ、紫色の三つ編みになっている髪に天使の様なかわいらしい顔があらわになっていた。
「それはさっきのあなたとその死神の会話を聞いてたから、死神討伐に来たつもりがまさかこんな真相だったなんて私にも予想がつかなかったよ」
「ふぅん、じゃあ私のことは黙ってもらえると助かります。プレイヤーについては私の目標はもう達成したので迷惑かけませんので」
そう言うと少女は付けている指輪に死神を戻し、ルーンの横を通り森をあとにしようとしていた少女にルーンは最後に質問をした。
「最後に聞いてもいいかな?」
「なんでしょう?答えられるものなら」
「あなたの名前を教えてくれない?」
「私の名前はアヤメです。できれば以後、私を町やマップで見かけても知らないふりをしてください」
アヤメと名のる少女と話したルーンは落ち着いた話し方のなかにある彼女の冷たさを一瞬垣間見た気がした。




